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酔っ払いの記憶〜日経サイエンス2019年5月号より

飲酒と記憶に関する定説に誤りあり

 

犯罪捜査中の警察官は酔った目撃者からの事情聴取を控えるだろう。だが目撃者の酔いがさめるまで待つのは最善の策ではないかもしれない。たとえ酔っていても,1週間後に比べればよく覚えていることが,新しい研究でわかった。

 


Travis Wise

スウェーデンにあるヨーテボリ大学の心理学の上級講師ヒルデブラント・カルレン(Malin Hildebrand Karlén)らは136人の被験者を集め,半数にウォッカとオレンジジュースを混ぜたものを,残りの半数にはジュースだけを飲ませた。アルコール群は女性の場合で15分間に体重1kgあたり0.75g,男性は同0.8gのアルコールを摂取した(体重70kgの女性でワインをグラス3.75杯,同体重の男性で4杯飲んだのに相当するという)。その後,全被験者は1組の男女が口論と小突き合いのケンカをしている短い映画を見た。次に各グループの半数の人に,映画に関して覚えていることを自由に思い出してもらった。残り半数の人には帰宅してもらい,1週間後に面談した。

 

1週間後よりは記憶鮮明

この結果,すぐに質問された人たちは,酔った人もしらふの人も,1週間後に質問された人たちよりも映画の出来事をより正しく覚えていた(アルコール群どうし,しらふ群どうしの比較で)。この効果は血中アルコール濃度が0.08%(米国のほとんどの地域で自動車運転の許容限度となっている値)以上の人にもあてはまった(アルコールの代謝速度は人によって異なるので酩酊度合いはいろいろ)。この結果は酔った目撃者からは酔いがさめるのを待つのではなくすぐに聞き取りを行うべきであることを示唆している。昨年10月のPsychology, Crime & Law誌オンライン版に報告。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年5月号誌面でどうぞ。

 

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