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「ウルティマ・トゥーレ」姿現す〜日経サイエンス2019年4月号より

探査機ニューホライズンズによってカイパーベルト天体に新たな光が当たった

 

欧州の伝説上の「最果ての地」にちなみ「ウルティマ・トゥーレ」と呼ばれる太陽系外縁天体「2014 MU69」に米航空宇宙局(NASA)の探査機ニューホライズンズが1月1日,最接近し,鮮明な画像を送ってきた。2つの小天体が結びついてできており,表面の状況などもわかってきた。データ解析は始まったばかりで,その成因の解明などはこれからだ。

 


NASA

ウルティマ・トゥーレは太陽系最遠の惑星,海王星の軌道〔軌道長半径は30AU(1AUは地球の軌道長半径)〕の外側に多数分布するエッジワース・カイパーベルト天体の1つ。ニューホライズンズが2015年に探査した準惑星の冥王星が代表格だが,冥王星軌道(40AU)が一部,海王星軌道より内側に入るのに対し,ウルティマ・トゥーレの軌道(45AU)は完全に海王星軌道の外側にある。人類が直接探査した最遠の天体になる。

 

ニューホライズンズは太陽を背に時速約5万kmという猛スピードでウルティマ・トゥーレに接近,日本時間の1月1日14時33分,約3500kmまで近づいた後,飛び去った。途中,近づくにつれ,この天体が雪だるまのような形であり,約16時間で自転していることが判明した。探査機が全データを地球に送り終えるのは2020年夏になるが,研究代表を務める米サウスウエスト研究所のスターン(S. Alan Stern)によると,データの初期解析からは衛星やリング,大気の存在は確認されていない。

 

2月上旬までに公表された最も鮮明な画像は最接近7分前,6700kmの距離から撮影したもので,解像度は135m。天体の長さは約34km,雪だるまの大きい方の直径は約20km,小さい方は約14km。大きい方をウルティマ,小さい方をトゥーレと呼ぶ。

 

この画像を見ると,雪だるまのくびれた部分はかなり明るい。太陽系誕生初期,連星のように互いを回っていたウルティマとトゥーレが結合する際,結合部分で物質組成が変化した可能性がある。塵などの集積を示している可能性もある。こうした天体のくびれ部分には,重力の作用によって微細な粒子が集積しやすいと考えられるからだ。

 

天体の表面にはいくつか凹みが見られ,特にトゥーレの方には直径7km程度のかなり大きな凹みが存在する。画面の上方,天体の縁の近くには直径700mほどの小さな凹みも複数カ所見える。こうした凹みは微小天体の衝突でできたクレーターか,揮発性物質が内部から抜け出る際に形成されたものか,いずれかだと考えられている。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年4月号誌面でどうぞ。

 

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