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ハイパーループに熱い視線〜日経サイエンス2019年3月号より

減圧した専用トンネルを高速走行

 

減圧した専用トンネルの中を列車が高速で走る超高速輸送システム「ハイパーループ」が注目を集めている。米スペースX創業者のイーロン・マスク氏が技術設計を支援しているほか,中国やインドでは実用化の構想も進んでいる。日本では慶応義塾大学のチームが基幹技術の開発に取り組んでおり,存在感を高めている。

 

ハイパーループは,チューブと呼ぶ減圧したトンネルの中を通常の地下鉄よりも小さい専用車両が時速1000km以上のスピードで走るものだ。マスク氏が2013年に基本構想を公開したことにより,関心が高まった。実現すれば,600km離れたロサンゼルス―サンフランシスコ間を30~40分でつなぐことができるという。

 

輸送車両は速度が速くなるほど空気抵抗が大きくなる。ジェット機が高度1万mを超える上空を飛ぶのは空気が薄く,抵抗が少ないのが一因となっている。チューブ内を減圧して地上でも抵抗が少ない環境で走れるようにするのがハイパーループだ。

 

ハイパーループの走行技術として検討されているのが,通常の電車のように車輪で走るタイプと,磁力を使って浮かせるタイプだ。車輪の場合は,新幹線を超えるような速さでも軸受けへの負荷や摩擦,騒音を低減する技術が必要で,浮かせる場合はどのように浮上させるかが課題となる。基幹技術は確立していない部分もあり,スペースXが2017年1月から定期的にコンテストを開催して,アイデアを競わせている。

 

 
慶大チームは日本からコンテストに参加する唯一のチームだ。入賞経験はないが,2017年8月のコンテストでは初めて完走したチームとなり,マスク氏から「システムデザインが素晴らしく印象的だった」と称賛された。慶大は磁力で浮かせる仕組みを採用している。ただ,コンテストでは安価なアルミニウムのレールを敷いているだけだ。レールや側壁にコイルを設置する必要があるリニア中央新幹線と同じ原理は使えない。

 

慶大は,磁場を変えるとアルミのような磁性を持たない物質にも電流が流れ,磁石と相互作用をもたらす仕組みを採用した。車両に磁力の強い円盤状の永久磁石を取り付けて前進させると,レール上に一時的に電流が流れて車両を浮かせる力が働くようにした。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年3月号誌面でどうぞ。

 

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