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近寄らないで!〜日経サイエンス2019年2月号より

言い寄るオスを避けるためにメスのゴキブリは団結する

 

セクハラに対処するのは人間だけではない。ある新研究によると,メスのゴキブリは言い寄ってくるオスを避けるため,ひとかたまりに寄り集まるらしい。

 

英チェスター大学で動物行動学の講師を務めているスタンレー(Christina Stanley)らがパシフィック・ビートル・コックローチというゴキブリを特別な容器に入れて社会的行動を観察したところ,メスのみが群れ集まってオスを追い出した。「メスはオスを排除することによって,よりよい社会環境を作り出した」と,7月のEthology誌電子版に発表されたこの研究を率いたスタンレーはいう。このゴキブリのメスはオスよりもはるかに大きく,「優位なので,オスを容易に追い出すことができる」と付け加える。

 

研究チームはまた,メスよりもオスの数を多くして同様の実験をした。この条件下では,メスは交尾を求めるオスからアプローチされる回数や触角で探られたりする回数が増えた。したがって,メスはオスが言い寄ってくるのをかわす戦略として群れ集まっていたのかもしれないと,スタンレーはいう。

 

これに対し,この研究に加わっていないノースカロライナ州立大学の昆虫学の教授シャル(Coby Schal)は,メスがみなオスを避けようとしていたとする解釈に納得していない。オスが追い出された理由は,ひとえにメスとオスの体格差によるとみる。

 

だがオスの数を多くした実験で見られた行動の変化は,ほかにも理由があることを示しているとスタンレーはいう。またメスのパシフィック・ビートル・コックローチは1回の交尾で得た精子を体内に保存しておくことができる。だからそれ以上の交尾はエネルギーの無駄であり,負傷する危険もある(これはゴキブリの交尾では珍しくない)。最初の出会いのために設けられた短い時間枠の後では,メスにとってオスはほとんど無用ということらしい。■

 

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