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使いこなせるか,機械の体〜日経サイエンス2019年1月号より

東京で国際競技大会,20カ国が参加

 

「ボイラーのバルブを0.2メガパスカルに設定せよ」。3本指の腕や無限軌道の足を持つロボットたちが,縦横に配管が並ぶプラントの中で指令をこなす――。10月17日から21日まで東京ビッグサイト(東京・江東)で開かれたロボットの国際競技大会「World Robot Summit」(WRS)での光景だ。工場の災害対応から部屋の片付けまで全9種目に20カ国以上の約130チームが参加し競い合った。

 

注目を集めた競技の1つが「プラント災害予防チャレンジ」。会場内に組み立てられた実物大のプラント模型は,複数の配管やタンクなどが立ち並ぶ本格的なものだ。約10m四方のプラントを舞台に,遠隔操縦で動くロボットたちがプラントの点検タスクに挑んだ。競技の特徴は,ロボットを動かすオペレーターから直接にはロボットやプラントの様子が見えないことだ。オペレーターは壁で隔てられた電話ボックスのようなブースに入り,そこからロボットに一切の指令を出す。ロボットは1台である必要はなく,ロボットとドローンのペアで出場するチームもみられた。

 

「配管に取り付けられた計器の値を報告する」「バルブを回して圧力を調整する」などといった個々の点検タスクは,人間ならすぐにこなせる作業だ。しかし,これがロボットの遠隔操縦となると話が変わる。オペレーターはマシンに搭載したカメラやセンサーを頼りに,周囲の状況を全て把握する必要があるためだ。双眼鏡をのぞきながら車を運転するようなもので,同時に様々な情報に注意を向けるのが難しくなる。前方を見ていて配管の根元に衝突したり,狙った計器の前を通り過ぎたりするケースが相次いだ。

 

最終日の決勝には9チームの中から上位4チームが進出。プラントの点検中に爆発事故が起きるという設定で,20分の制限時間で様々なタスクを処理することが求められた。計器の確認やバルブの圧力調整といった点検作業をしていると突然,会場に事故発生を告げる警報音が鳴り響く。これが合図で,点検を中断して人命救助タスクに取りかからなければならない。

 

プラントのどこかに倒れている作業員(人形)を残された時間内に探すのが人命救助タスクだ。点検業務と人命救助の双方で,どれだけのタスクをこなせるかを競い合った。会場にはオペレーターが見ているパソコンの画面が映し出され,観客はロボットの動きと中継映像の双方で試合観戦を楽しんだ。(続く)

 

続きは現在発売中の2019年1月号誌面でどうぞ。

 

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