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デスマスクが助けた化石化〜日経サイエンス2018年11月号より

最古の軟体組織生物が腐らずに化石になった理由

 

死に際して作られたデスマスクが,あなたの顔を何百万年もの後代に保存する──地球で最古と考えられている動物の一部では,ある意味これと同じ現象が起こっている。軟体組織でできた太古の動物は,黄鉄鉱という鉱物の“デスマスク”に覆われることで腐敗を長らく免れ,化石に残ることが可能になっているという。

 

DickinsoniaCostata最古の生物として知られるのは約5億7500万年前から5億4100万年前のエディアカラ紀に繁栄していたもので,エディアカラ生物群と呼ばれている。見かけはエイリアンのようで,ガーターリングをつけたアボカドのようなキンベレラ属(Kimberella)や,ホットケーキとミミズを足して2で割ったようなディッキンソニア属(Dickinsonia)などがある。

 

エディアカラ生物群が進化系統樹のどこに位置するのかは謎だ。一部は動物だが,動物といえないものもあり,動物と考えられる種は,その後の動物の祖先または近縁種を含んでいた可能性が高い。もう1つの悩ましい謎は,エディアカラ生物群がそもそもどのように化石になったのかだ。大半は軟組織でできていたと考えられ,そうしたグニャグニャの生き物は死後すぐに食べられてしまうか腐ってしまうので,ほとんど化石に残らないはずだ。

 

黄鉄鉱が沈着

これらの謎を解くため,バンダービルト大学の古生物学者ギブソン(Brandt Gibson)が率いるチームは,エディアカラ紀の生物と体組織が最も似ていると考えられる現生動物であるイソギンチャクと軟体動物を安楽死させて調べた。古代の海の化学組成に似せた海水タンクに死骸を入れ,鉄を豊富に含む黄鉄鉱が1カ月ほどで死骸に沈着する様子を観察した。こうしたデスマスクの形成を実験室で観察した研究はこれが初めてで,5月のPALAIOS誌に報告された。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年11月号誌面でどうぞ。

 

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