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人工流れ星衛星打ち上げへ〜日経サイエンス2018年10月号より

2020年春,広島市上空で流星の「源」を放出

 

人工流れ星による宇宙エンターテインメント事業を目指すベンチャー企業のALE(エール,東京・港)が7月18日に記者会見を開き,衛星開発の現状などを説明した。人工流れ星を発生させる人工衛星の初号機はすでにフライトモデルが完成し,2018年度末に宇宙航空研究開発機構(JAXA)のイプシロン・ロケットで打ち上げる。2号機も2019年夏に海外の民間ロケットで打ち上げ,2機体制で2020年春に広島市上空での初イベントの達成を目指す計画だ。
 

ALE_Astro Live Experiences from ALE_Astro Live Experiences on Vimeo.

 

ALEは2011年創業で,「エンターテインメントとサイエンスの両立」を掲げる。人工流れ星の実現のほか,高層大気の観測なども事業目的とする。

 

開発中の衛星は60cm×60cm×80cmの箱型で,高度400kmの地球周回軌道上で衛星後方に向け流れ星のもととなる粒子「流星源」(直径約1cm)を放出する。流星源は高度60〜70kmで大気との摩擦熱で加熱・発光する。衛星はそれぞれ400個の流星源を格納し20〜30回のイベントを想定している。流星源の素材を変えて流れ星の明るさと色を制御できるという。

 

初号機は8月末までJAXAの安全審査を受ける。有坂市大郎・最高技術責任者(CTO)は「軌道上での意図的な物体の放出という前例のないミッションなので,通常の審査のほかに特有の審査も受けている」と説明する。

 

初号機は相乗りのため,まず高度500kmの軌道に入り,400kmまで降下して流星源を放出する。400kmは国際宇宙ステーションの軌道より低い。大気との摩擦で軌道を長く維持することはできない。2号機は最初から400km軌道に投入される計画だが,スラスター(姿勢制御用エンジン)を搭載し低い軌道と高い軌道を行き来する能力を持ち,より長期の運用を狙う。

 

計画通りの時間と場所で流星群を発生させるためには,流星源を計画通りの時間に狙い通りの方向と速さで放出しなければならない。

 

蒲池康チーフエンジニアは「独立した3つのスタートラッカー(恒星センサー)と独立した3つの位置決定システムのデータを独立した3つの演算装置(CPU)で計算し放出の時期と方向を判断する」と多重化による精度保証を解説した。ガス圧で放出する流星源の放出速度の制御にも3つの独立した圧力計を備えるという。放出速度は最大で毎秒400m。上下1%以内の精度で制御できる。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年10月号誌面でどうぞ。

 

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