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窒素源としての堆積岩〜日経サイエンス2018年9月号より

植物を支えるこの元素について,大きな供給源が見落とされていた

 

これまで,土壌中の窒素はほぼすべて,大気中の窒素が微生物によって固定されるか雨水に溶け込むかして,大気から直接もたらされたものだと考えられてきた。だが,植物の成長に欠かせないこの元素の別の主要供給源が見落とされていたことが判明した。4月にScience誌に発表された研究によると,土壌と植物に含まれる窒素の1/4までが基盤岩からしみ出したものだ。

 

論文の筆頭著者となったカリフォルニア大学デービス校の地球生態学者ホウルトン(Benjamin Z. Houlton)は,少数の例を除くと,窒素循環に関して「岩石に着目した研究はこれまでなかった」という。今回の発見は地球の窒素循環を理解する以上の意味がある。気候モデルを変える可能性もあるのだ。地域によっては植物がこれまで考えられていたよりも速く大きく成長し,より多くの二酸化炭素を吸収する可能性があるという。

 

地球温暖化が進むなか,温室効果ガスの二酸化炭素を植物がどれだけ吸収しているかを計算することはますます重要になっている。正確な吸収量はまだ不明確だが,ホウルトンは「人間活動が排出した炭素を蓄える緩衝材としての植物の役割をもう少し多く期待できるだろう」と指摘する。

 

窒素循環の新ルート

過去の研究では,堆積物からマントル(地殻の下の層)に移動する窒素の量と,火山から大気(78%が窒素)中に放出される窒素の量を調べていた。その後,1970年代に始まった少数の研究によって,いくつかの種類の堆積岩に太古の海底に堆積した動植物や藻類の死骸に由来する窒素が含まれていることが示された。一部地域でこの窒素が土壌に漏れ出している可能性を示した論文もあったが,追跡研究はなされず,岩石の風化に伴って放出される窒素の量は取るに足らないと考えられた。「窒素循環の枠組みに加えられるには至らなかった」とホウルトンはいう。

 

ホウルトンらは堆積岩の上にあるカリフォルニア州の森林土壌が火成岩の上の土壌と比べて50%多くの窒素を含むことを発見し,2011年にNature誌に発表した。堆積岩層の上に育っている樹木は窒素量が42%多いことも発見した。この研究はこうした特定の地域で窒素が岩石から土壌と植物に移動していることをうかがわせたが,それが世界規模で起こっている顕著な現象なのかどうかは不明だった。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年9月号誌面でどうぞ。

 

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