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「六脚類の空白」の謎〜日経サイエンス2018年7月号より

昆虫化石のない空白期はこの動物の起源を解くカギだ

 

昆虫はどこにでもいる。空中にも地上にも地中にも,ときには家のなかや食べ物のなかにいることもある。だが3億8500万年前~3億2500万年前の化石のなかには1つとして見つかっていない。既知の昆虫化石で最も古いものは3億8500万年前のもので,セイヨウシミに似た翅(はね)のない生物だ。その後の6000万年間はただ1匹のトンボもバッタもゴキブリも見あたらない。

 

六脚類の空白

現在,昆虫は考えうる陸の生息環境のほぼすべてに見つかるだけに,このいわゆる「六脚類の空白」は古生物学者を長い間悩ませてきた。ある仮説は,この空白期の間は呼吸が難しいほど酸素濃度が低かったので昆虫は多様化せず,酸素濃度が上がってようやく急増したのだと考える。

 

だが大気酸素濃度に関する理解が進展し,この説は分が悪くなったと,スタンフォード大学の化石昆虫学者シャチャット(Sandra Schachat)は説明する。シャチャットは最近の研究で,六脚類空白期の酸素濃度を理論モデルによって推定した。当時の大気中の酸素濃度は従来考えられていたよりもはるかに高かったという。この研究は1月のProceedings of the Royal Society B誌に報告された。

 

シャチャットの発見と以前の研究結果の食い違いは,データ収集が安価で効率的になったためシャチャットのほうがより最近の大気データを利用できたことによる。「この結果が確認されれば,六脚類空白期が低酸素濃度によるとの可能性を排除できるだろう」と,英ブリストル大学の古生物学者フェルナンデス(Jesus Lozano Fernandez)はいう。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年7月号誌面でどうぞ。

 

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