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カーリング,AIで戦略分析〜日経サイエンス2018年7月号より

サッカーやラグビーでも期待膨らむ

 

スポーツの戦略分析に,AIを活用する取り組みが広がっている。「氷上のチェス」といわれるカーリングでは局面ごとの勝率を分析し,次にどのようなショットが最適かを決めるAI,サッカーではPK戦でキッカーが蹴る方向を予測するAIが開発された。

 

日本中を沸かせた平昌冬季五輪のカーリング女子の3位決定戦。日本のLS北見の石(ストーン)2つを同時にはじき出そうとした英国チームの最終ショットが外れて日本が1点を獲得,接戦を制して銅メダルに輝いた。劇的な勝利だったが,ハウス(円)の中に多くの石が入り乱れていただけに,相手の凡ミスによる「棚ぼた」なのか実力なのか,素人にはわかりにくい。

 

この疑問に1つの解を示すのが北海道大学の山本雅人教授だ。開発したカーリングの戦略を考えるAI「じりつくん」を使い,英国チームが選んだショットが成功し試合に勝てた確率を算出したところ,わずか26%だった。山本教授は「英国にとって簡単な選択肢ではなかった」と分析。相手を厳しい状況に追い込んだ日本が取るべくして取った銅メダルだったと指摘する。

 

カーリングはハウスの中心に近い石の数を増やすゲーム。交互に投じる石を狙った場所に正確に止める技術や,石をぶつけて動かすことで変化する局面に応じて立てる作戦が醍醐味だ。試合状況が複雑になるほど,どんなショットが有利なのか,相手を窮地に追い込む作戦は何かを判断するのは難しい。

 

「じりつくん」の基本的な原理は,人間の最強クラスの棋士を倒した囲碁AIと同じだ。ある石の配置において次のショットを投げた場合の勝率を,深層学習(ディープラーニング)を使って数値化する。多くのショットを数値化する中で,最も勝率の高いショットを最適な選択肢と判断する。「じりつくん」は電気通信大学の伊藤毅志助教が考案したコンピューター上のカーリングゲームで100万通りの石の配置を再現し,石の動き方や衝突をシミュレーションすることで勝率を計算できるようになった。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年7月号誌面でどうぞ。

 

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