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海底探査Xプライズ決勝へ〜日経サイエンス2018年6月号より

日本の産学官共同の若手チームが今秋の決勝ラウンドに進出する

 

「不可能を可能に」をキャッチフレーズとする米Xプライズ財団の国際コンテスト。話題を集めた民間の月探査は期限の3月末までにどのチームも達成できず,仕切り直しとなったが,今年熱いのは深海底探査にブレークスルーをもたらそうというコンテストだ。このほど今秋の決勝ラウンドに進出する9チームが発表され,アジアから唯一,日本の産学官の若手研究者や技術者からなる「Team KUROSHIO」が挑むことになった。

 

コンテストのゴールは指定された海域の海底地形図を作り,特定の場所にあるターゲットを写真撮影することだ。ただし,その水深は4000m。日本での一般的な深海底探査は3000m程度までなので,より大きな水圧に耐える装置が必要になる。調査海域の面積は500km2で,東京ドーム約1万個分の広さ。要求される地形図の解像度は水平5m,垂直50cmとかなり高精度だ。

 

大規模ミッションだが,現行の探査手法でも,技術的には実現可能だ。こうした広域探査では通常,海底探査ロボットを用いる。かなりの人数の研究者や技術者が乗船した支援母船で調査海域まで行って探査ロボットを下ろし,母船から有線または音響通信を用いて操作する。探査ロボットの着水と回収には人手を要し,時にはダイバーが出動する。1日の調査範囲は10km2くらいなので,500km2であれば2カ月程度かかる。得られたデータは膨大になるので,陸上に戻った後,数週間,場合によっては数カ月かけて地形図に仕上げることになる。

 

ところがXプライズの決勝ラウンドでは500km2,最低でも250km2を24時間で探査し,48時間で地形図を提出することが求められている。しかも,研究者や技術者は支援母船に乗って調査海域はおろか海に出ることすら許されない。さらに,使用する探査ロボットなどの調査機材一式は長さ12mのコンテナに収まるサイズであることがルールになっている。非常にコンパクトなシステムで高精度な超広域の深海底探査を迅速に無人で実現するというのがゴールだ。

 

民間の月探査レースと同様,不可能を可能にするブレークスルーを成し遂げなければ優勝は夢物語だが「決勝ラウンドに進出したからには優勝を目指したい」とTeam KUROSHIO共同代表を務める海洋研究開発機構の中谷武志技術研究員は話す。(続く)

 

続きは現在発売中の2018年6月号誌面でどうぞ。

 

 

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