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脈動オーロラの謎を解明〜日経サイエンス2018年5月号より

探査衛星「あらせ」によって,オーロラ発生の仮説が実証された

 

オーロラの一種で,夜空のパッチ状の領域が数秒~数十秒周期で明滅する「脈動オーロラ」の発生メカニズムが探査衛星「あらせ」による観測で解明された。地球を取り巻く宇宙空間の環境を深く理解するのに役立つ成果だ。2月14日付のNature誌電子版に発表された。

 

脈動オーロラは一般にはあまり知られていないが,カーテン状のオーロラが夕方から真夜中まで舞った後,明け方にかけて出現する。どのようなシナリオで脈動オーロラが生じるのか謎だったが,昭和基地など極域の研究施設や観測ロケット,人工衛星を用いた長年の研究でかなりわかってきた。「そのシナリオを完成させるための最後の重要なピースが『あらせ』の観測で得られた」と今回の研究で代表を務める東京大学の笠原慧准教授は話す。

 

 
「宇宙のコーラス」とのつながり

オーロラのおおもとは太陽から噴き出ている電離ガスに含まれる高エネルギー電子だ。

 

太陽表面でフレアと呼ばれる爆発が起きると,大量の高エネルギー電子が地球磁気圏に流れ込む。地球磁気圏は地球の磁場が及ぶ上空数万kmの宇宙空間のことで,流れ込んできた高エネルギー電子は地球磁場の磁力線の周囲をらせん運動するようになる。磁力線は地球の南北両極から立ち上がり,中・低緯度域のはるか上空を通っているが,極域上空は磁力線が密になっているので,高エネルギー電子はなかなか入り込むことができない。そのため通常は中・低緯度域の高度数万kmを走る磁力線のところを往復運動する。

 

しかし,何らかの理由で高エネルギー電子が極域上空にまで進入すると,上層大気の酸素原子や酸素分子,窒素分子などが励起されて発光する。これがオーロラだが,特に脈動オーロラは高エネルギー電子の中でもかなり高い部類が短時間,局所的に上層大気に降り注ぐことで生じる。ではどんなメカニズムで,脈動オーロラをもたらす高エネルギー電子の極域上空への降り込みが起きるのか。有力な仮説は「コーラス」と呼ばれる特殊な電波と高エネルギー電子との相互作用によってもたらされるとのシナリオだ。(続く)

続きは現在発売中の2018年5月号誌面でどうぞ。

 

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