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キツネザルの食生活〜日経サイエンス2018年4月号より

果物に頼らずにすむように適応

 

キツネザルはヒトと同じ霊長類だが,奇妙な連中だ。アフリカ大陸の東側にある島国マダガスカルだけに生息しており,なかには冬眠することで知られる種がある。霊長類で冬眠するのはこれらだけだ。また,果実ではなく主に葉を食べる種がいる。

 


IMAGE:Frank Vassen

キツネザルが葉を好むこと自体は別段特別ではないかもしれない。だがマダガスカルの鳥やコウモリも,アジアやアフリカ大陸部,南北アメリカにいる仲間と比べると果実を食べる量が少ない。多くのタイプの動物がこの同じパターンを示すことから,英オックスフォード・ブルックス大学の霊長類学者ドナティ(Giuseppe Donati)はマダガスカル島の果物そのものが他と何か違っているのではないかと考えた。

 

タンパク質に乏しい果物

果実は他の栄養素とともにタンパク質の供給源になっている場合が多い。筋組織の形成から血流による酸素の運搬まで,様々な過程に必要なタンパク質の供給源だ。ドナティらは世界中の熱帯地域62カ所で採取した果実の窒素量を測定し,それをもとにタンパク質の供給量を推定した。

 

この結果,南北アメリカとアジア,大部分のアフリカの果実の窒素量は同程度なのだが,マダガスカルの果実の窒素量はその3/4から2/3しかないことがわかった。それでもキツネザルは他の霊長類と同量の窒素を摂取できているのだから,これら低タンパク質の果実に適応する方法を見つけたと考えられる。「マダガスカルにおいて,キツネザルは果物に頼っていては窒素の必要量を満たせない」とドナティはいう。また,マダガスカルはサイクロンがたびたび襲来するし土地もやせていて果物がいつ実るのか見通しにくいため,キツネザルは葉を食べて補うよう適応したのかもしれない。昨年10月のScientific Reports誌に発表された。(続く)

 

 
再録:別冊日経サイエンス237「食と健康」

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