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ランゲオモルフの謎〜日経サイエンス2017年12月号より

大型動物の起源につながる手がかりが得られるかもしれない

 


ILLUSTRATION BY REID PSALTIS

2000年代初頭,カナダ東岸のニューファンドランド島で不思議な化石層が見つかった。シダのような形をした大きな海洋生物の化石層だった。この謎めいた絶滅生物は「ランゲオモルフ」と呼ばれ,以前にも発見例があったが,分類をずっと拒んできた。これらニューファンドランドの化石やその仲間は,地球の生命に関する重要な謎を解くのに一役買うかもしれない。

 

ランゲオモルフはエディアカラ紀(約6億3500万年前~5億4100万年前)の生物で,その体は軸から枝がフラクタル状に分かれて伸び,クラゲのように軟らかかった。当時の他の動物には類を見ない長さ2mという大きさに達していたと考えられている。ランゲオモルフが絶滅した後,カンブリア紀を迎えた地球上で様々な大型動物が爆発的に出現した。

 

「ランゲオモルフはこの時期の地球で何が起こっていたのかを語るもっと大きな歴史物語の一部なのだ」と,先ごろのNature Ecology & Evolution誌に掲載された研究論文を共著した東京工業大学の古生物学研究員ホイヤル・カットヒル(Jennifer Hoyal Cuthill)はいう。ランゲオモルフがいかにしてここまで大きくなったかを解明すれば,その後に多様な大型動物が誕生した経緯や,変化しつつあった当時の地球環境が生命進化にどう影響したのかを理解する下地が整うだろう。

 

地質化学の変化で栄養が増えた可能性

この関連性を探るため,ホイヤル・カットヒルと英ケンブリッジ大学の古生物学者コンウェイ・モリス(Simon Conway Morris)は複数のランゲオモルフの化石を解析した。2人はニューファンドランドで発見されたアバロフラクトゥス・アバクルス(Avalofractus abaculus)という種の保存状態のよい化石1体をマイクロCTでスキャンし,立体構造を詳しく調べた。さらに比較のため,他の標本2体を写真計測した。

 

そしてランゲオモルフの軸と枝を様々な側面から調べ,数理モデルを用いて化石の表面積と体積の関係を調べた。このモデルと化石の観察結果から,この生物の大きさと形は入手できた栄養の量によって決まっていたとみられることがわかった。この結果から,地球の地質化学が変化していた時代にランゲオモルフがこのように大型化できたことに説明がつくかもしれない。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年12月号誌面でどうぞ。

 

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