News Scan

宵っ張り遺伝子〜日経サイエンス2017年11月号より

体内時計に影響する遺伝子変異が夜型人間を生み出しているようだ

 

真夜中を過ぎてもどうしても寝つけない人がいる。その結果,起床時間をずっと遅らせないと休まらない。こうした夜型人間は睡眠相後退障害(DSPD)というよくある不眠症の一種と考えられ,少なくとも部分的には遺伝性だとみられてきた。ロックフェラー大学の研究チームが最近,この厄介な睡眠スケジュールの原因を明らかにすると思われる遺伝子変異を発見した。

 

もちろん,睡眠相後退障害が苦にならない患者もいる。バーテンダーやミュージシャンなどは診断も治療も求めないだろうと,夜型人間を自認しているがこの遺伝子を持っていないロックフェラー大学の睡眠研究者パトキ(Alina Patke)はいう。だが特に大学生や会社員には,この障害は拷問といえる。今回の研究では,近年ずっと睡眠障害に悩まされてきた46歳の女性に注目した。「彼女は通常は午前2時から3時に就寝するが,5時や6時になることもある」とパトキはいう。

 

時計も窓もない部屋でこの女性に14日間過ごしてもらい,その様子を観察した。その結果,睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンを作り出すタイミングが過去の類似研究に参加した一般的な人と比べると5~7時間遅いことがわかった。このほか眠りが異様に断片的で,短いうたた寝を繰り返すような状況も見られた。

 

Cry1遺伝子の変異

この女性のDNAを解析したところ,Cry1という遺伝子に変異が見つかった。彼女の家族で睡眠障害を自覚している人にも同じ変異があった。この遺伝子が作り出すタンパク質は,体内概日時計で重要な役割を演じている2つのタンパク質,CLOCKとBMALの働きを抑えることが知られている。これら2つのタンパク質は日中に,覚醒に関連する遺伝子など様々な遺伝子を活性化している。変異によってCRY1タンパク質の一端が欠損し,CLOCKとBMALを抑制する作用がさらに強まる。研究チームは遺伝子データベースを精査し,この変異を持つ人をさらに39人見つけた。そのほとんども,就寝時間と起床時間が遅めだった。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年11月号誌面でどうぞ。

 

サイト内の関連記事を読む