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植物は聞こえている?〜日経サイエンス2017年9月号より

水の音や虫が葉を食べる音を検知できている可能性も

 

植物に音楽を聴かせるとよく育つといった,根拠のはなはだ怪しいエセ科学的な主張は何十年も前からある。しかし最近の研究は,ある種の植物が,パイプのなかを流れる水の音や昆虫の羽音などを感知できている可能性を示唆している。

 

この研究で,西オーストラリア大学の進化生物学者ガグリアーノ(Monica Gagliano)らは,Y字を逆さにしたような形の植木鉢にエンドウマメの苗を植えた。それぞれの植木鉢の片方の脚は水を入れた皿か,内部を水が流れるコイル状プラスチックチューブのなかに置き,他方の脚は乾いた土のなかに置いた。すると根は水が流れるチューブに向かって成長し,水を実際に得やすいかチューブ内部にあって届かないかにはよらなかった。

 

「チューブ内部を水が流れている音しか手がかりはないのに,水がそこにあることをちゃんと知っている」とガグリアーノはいう。だが水のチューブと湿った土のどちらかを選べる状況では,エンドウの苗は後者に根を伸ばした。ガグリアーノは,これらの植物は遠くの水を検知するのに音を使うのだが,近くのターゲットに根を伸ばすときには湿度勾配に従うという仮説を立てている。

 

いくつかの事例と仮説

今年になってOecologia誌に報告されたこの研究は,植物が音を検知して解釈できることを示唆した最初の例ではない。2014年のある研究は,ロッククレス(シロイヌナズナ属の植物)が,イモムシが葉を食べている音と風による振動を区別でき,昆虫が食事している音の録音を聞かせると毒素を作り出す量が増えることを示した。「植物の反応は見えにくいので,私たちは植物を過小評価しがちだ。だが,葉は極めて高感度の振動検出器であることがわかる」と,論文の筆頭著者となったトレド大学(オハイオ州)の環境科学者アペル(Heidi M. Appel)はいう。(続く)

 

 

続きは現在発売中の2017年9月号誌面でどうぞ。

 

 

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