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火の玉にならずに大気圏再突入〜日経サイエンス2017年9月号より

超小型衛星による実証実験に成功した

 

宇宙船や探査機が地球に帰還する際の最後の難関は大気圏再突入だ。大気と激しく衝突し,機体が火の玉に包まれたようになる。これまでは火の玉状態に耐える耐熱・耐風圧技術が開発されてきたが,東京大学や日本大学,宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの共同研究グループは,火の玉にならずに再突入する技術を開発中だ。

 

超小型衛星を使った技術の実証実験に成功,6月23日に発表した。宇宙実験の成果物などを超小型衛星で持ち帰る新サービスや,超小型着陸機による惑星探査などに道を開く成果だ。

 

実験に用いたのは卓上サイズの超小型衛星「EGG(エッグ)」。名前はre-Entry satellite with Gossamer aeroshell and GPS/Iridiumに由来する。昨年12月,国際宇宙ステーションに宇宙ステーション補給機「こうのとり」6号機で運ばれ,今年1月16日に宇宙に放出,宇宙ステーションとほぼ同じ軌道を飛ぶようになった。

 

約1カ月後の2月11日,EGGは「エアロシェル」と呼ばれるシイタケに似た形の軽量構造体(直径約80cm)を展開した。まず4面の太陽電池パネルを花弁のように開いて,内部に折りたたまれていたエアロシェルを露出させる。シイタケの傘の外縁が浮き輪のようなチューブになっており,ここに炭酸ガスを注入することでエアロシェルが膨らみ,十分な強度を持つ構造体になる。

 

EGGが飛ぶ高度約400kmにも非常に希薄ながら大気が存在し,その中をEGGは秒速8km(時速約3万km)という超高速で飛行している。そのためエアロシェルを展開すると,EGGが受ける空気抵抗は格段に大きくなる。EGGは減速しつつ徐々に高度を下げ,4月中旬には高度350kmあたりまで降下。以後,大気が次第に濃くなるにつれて空気抵抗も増して降下ペースが速まり,5月初めには高度300kmを切るところまで降下した。

 

5月14日午後8時頃,高度200kmまで高度が下がると,大気密度が非常に濃くなる影響で降下ペースを一気に速めて北海道の北方上空を南東に向けて飛行,翌15日午前5時半過ぎ,太平洋ハワイ西方の推定高度約95kmでの通信を最後に燃え尽きた。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年9月号誌面でどうぞ。

 

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