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改良VIRGOが近く稼働〜日経サイエンス2017年6月号より

米国のLIGOと合わせた3基で重力波の発生源を突き止める

 

1年半前,重力波が初めて出された。レーザー干渉計重力波天文台(LIGO)と呼ばれる2基の超高感度検出器(ワシントン州とルイジアナ州にある)が,2つのブラックホールの合体に伴って発生した時空のゆがみをとらえた。5カ月後,LIGOの科学者チームが発表したこの発見は国際的センセーションを巻き起こし,2016年最大の物理学ニュースとなった。1916年にアインシュタイン(Albert Einstein)が予言した重力波の直接の証拠は,物理学者が数十年にわたって追い求めていたものだ。

 

重力波の検出は画期的だったが,まだ取り組まれていない重要な問題がいくつか残った。なかでも一番の問題は重力波の発生源だ。すべてが計画通り進めば,将来の検出に際してこの問題に対処できる態勢が間もなく整う。

 

イタリアのピサ市近郊にある「VIRGO」という第3の重力波検出器が感度を増強したうえで近く再稼働する予定だ。2015年9月にLIGOの2基が重力波の信号をとらえたとき,VIRGOは改修のため停止中だった。これら3基の巨大装置がそろうことで,重力波の発生源を特定する取り組みが大幅に改善されると科学者たちは期待している。同じ重力波が3基の検出器すべてを変形させる“トリプル・ヒット”に迅速に反応すれば,三角測量の要領で絞り込んだ天空の領域に地上望遠鏡の焦点を合わせ,重力波を放出している天体衝突の現場を特定できる可能性がある。

 

複数の検出器で観測する理由

重力波検出器は長さ数kmに及ぶ“アーム”を巨大なL字形に配置したもので,アームの長さが重力波によってごくわずかに変わるのをとらえる。変化は陽子の直径にも満たない。だがこれら超高感度の検出器は,単独で観測している場合,地上で発生した振動を容易には除外できない。また,各検出器が監視する宇宙の領域は膨大で,視野は天空の約40%に及ぶ。これは砂漠の真ん中に立ってクルクル回転している人の視野と同じようなもの。その視野のなかで暗い星を1つ特定するのは至難だ。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年6月号誌面でどうぞ。

 

 

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