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ミニ衛星2つで宇宙望遠鏡〜日経サイエンス2017年3月号より

巨大装置なしで賢く観測

 

ガリレオが初めて望遠鏡を作製してから400年以上たった現在,米航空宇宙局(NASA)と韓国の延世大学校は2基の人工衛星を用いて宇宙空間に“仮想的”な望遠鏡を作り出す計画を進めている。概念実証のため,キューブサットと呼ばれる小型衛星が2つ作られた。これらを軌道上に並べ,両者間の距離と同じ焦点距離を持つ単一の望遠鏡を構成する。

 

2017年初めに打ち上げが予定されている約100万ドルのこのミッションは,巨大な単一望遠鏡なしに太陽のまぶしい輝きに隠れた向こう側や遠く離れた太陽系外惑星を観測する新種の装置に道を開く可能性がある。

 


DON FOLEY

 
融通の利く構成
キャニバルX(CANYVAL-X:「仮想望遠鏡配置実験を用いたNASAと延世大学校によるキューブサット天文学」の頭字語)と呼ばれるこの6カ月間のミッションは,重すぎて通常なら打ち上げ不可能な望遠鏡を宇宙空間で構成する技術を試す。2基の人工衛星(合わせて食パン一塊ほど)を軌道上に並べ,両者を結ぶ直線が観測目標の方角を向くようにする必要がある。「2基を協調して飛行させ,遠くの目標物を向くように位置を合わせ,その配置を維持するというのは,これまでに試されたことのない能力だ」と,NASAゴダード宇宙飛行センターの航空宇宙技師シャー(Neerav Shah)はいう。

 

仮想望遠鏡は通常なら同じ装置に搭載される部品を別々に自由に飛行させることができるので,いくつかのタイプの観測では重宝だとシャーは説明する。例えば片方の衛星に搭載された計器で太陽や遠くの恒星からのまぶしい光を遮蔽し,他方の衛星のカメラで太陽コロナや恒星を周回する系外惑星などのかすかな像を撮影できるだろう。また,X線など高エネルギーの波長域を検出する設計の望遠鏡は鏡やX線検出器の間の距離をかなり長く取る必要があるため大規模になり,そのままでは製作も打ち上げも高額になるが,仮想望遠鏡の構成にすればこれを回避できる可能性がある。

 

キャニバルXは実際の望遠鏡に必要となる部品を全部備えているわけではなく,この技術を実証するのが目的だ。実際に機能する仮想望遠鏡の計画としては欧州宇宙機関(ESA)の「Proba-3」がある。1億1000万ドルをかけ,太陽を観測する仮想望遠鏡を2019年に打ち上げる予定だ。■

 

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