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10代の若者が干ばつに挑む〜日経サイエンス2017年2月号より

オレンジの皮から超保水性ポリマー

 

ある日,南アフリカ共和国のヨハネスブルクに住む高校2年生ニルギン(Kiara Nirghin)は新聞をめくっていて,干ばつと格闘する農民たちの記事を目にした。自国が深刻な干ばつのさなかにあることは以前から知っていたが,この記事を読んで,問題はずっと広範囲に及ぶことを理解した。「全世界が影響を受けている。なのに,干ばつを一変させるものはまだ何ひとつない」。

 

ニルギンは最もひどい日照り続きでも作物に水を供給できる方法についてブレーンストーミングを始めた。彼女のシンプルな解決策は去る9月のグーグル・サイエンス・フェアでグランプリを受賞した(SCIENTIFIC AMERICANは同賞を協賛している)。

 

ニルギンは生分解性と超吸水性を備えた物質を作り,これを作物のそばに“植える”ことで,土壌中に“ミニ貯水池”を作り出した。まずオレンジの皮をゆで,吸湿性の高い炭水化物であるペクチンを豊富に含む液体を生成した。次に,このペクチンを乾燥したオレンジやアボカドの皮と混ぜ,この混合物を焼いて水分を除いた後,砕いて粉末にした。最後に,粉末にさらにオレンジとアボカドの皮を混ぜた。できあがったポリマーは自重の300倍もの水を保持できる。試験の結果,この発明品は土壌の湿度を保ち,一緒に育てた植物は丈が高く健康で,花の付きもよかった。

 

彼女はこの物質によって干ばつ地域の食料確保が進むことを望んでいる。「ニルギンのプロジェクトは審査員にとって刺激的だった」と,SCIENTIFIC AMERICAN編集長で2011年の賞創設から審査委員長を務めているディクリスティーナ(Mariette DiChristina)はいう。「卓越した方法と期待される効果,科学を通じて世界をよくしようとする情熱に審査員一同が感銘を受けた」。■
 

 
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