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動物の個性と集団行動〜日経サイエンス2017年2月号より

集団にならって変わる場合もあるが基本的には一貫している

 

ペットの飼い主なら誰でも,個性を持つ動物は人間だけではないというだろう。それもイヌやネコに限らない。近年の研究で,ヤドカリからネズミや魚まで多くの生物種に個性があり,様々な時と場合で個体別の行動に一貫した違いが見られることが明らかになっている。

 

そうした個性は社会的状況からどのような影響を受けるだろうか? この点を調べるため,英ブリストル大学の生物学者ヨアンヌ(Christos C. Ioannou)らは北半球の汽水域に幅広く生息するイトヨという小さなトゲウオ科の魚に注目した。「イトヨは自然界で個体行動と集団行動の両方を観察できる」ため,様々な状況下で個性を評価するのにぴったりだという。

 

集団と単独で行動に差

80匹のイトヨを捕獲し,それぞれを水槽の片端に入れた。その上部には保護カバーがついており,水槽のもう片方の端には餌を置いた。餌を食べるためにカバーのないところを泳ぐのは,イトヨにとってリスクを伴う。カバーがないところでは水上の捕食動物から丸見えになって狙われる恐れがある。

 

イトヨはそれぞれ数日間,一貫性のある行動を示した。大胆な個体はカバーのある場所をさっさと離れて餌に向かった。臆病な個体は隠れ家を出るまでに時間がかかり,水槽の他端へ向かう泳ぎも慎重だった。だが保護カバーの下に10匹まとめて入れると,それぞれの魚の個性が薄れた。

 

人間と同様,大胆な個体がグループのリーダーとなったが,単独の場合に比べると慎重になった。「最初に隠れ家を離れた魚はやはり比較的短時間で出てきたが,他の魚がついてきていないことに気づいていたようで,ほかが追随してくるのを待った」とヨアンヌはいう。その後,この魚をグループから離して単独行動させると,もとの個性を取り戻した。この結果は去る9月のScience Advances誌に掲載された。

 

赤信号みんなで止まれば怖くない

この新発見は集団の力学が個性を抑えることを示唆している。研究チームによると,こうした抑制がその背景となっている原因と直接に関係づけられたのは初めてだ。つまり,リスクを伴う決断に迫られた場合には,他のメンバーにならって行動するということ。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年2月号誌面でどうぞ。

 

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