News Scan

ナマケモノの勤勉な進化〜日経サイエンス2017年2月号より

その極端に低い代謝率は不断の適応の産物だ

 


Carol Schaffer

ウィスコンシン大学マディソン校のチームがミユビナマケモノを7年間研究した末,樹上にすむこの動物は地球上で最ものろい哺乳動物であると公式に結論づけた──代謝が遅いという意味で。「代謝率が低いだろうとは考えていたが,必要としているエネルギーがとんでもなく少ないことがわかった」と,生態学者のパウリ(Jonathan Pauli)はいう。

 

パウリは同僚のピーリー(M. Zachariah Peery)とともに,コスタリカにいるミユビナマケモノ10頭とフタユビナマケモノ12頭の代謝率を測定し,他の葉食性哺乳類19種の代謝率を調べた同様の研究と比較して,この結論を得た。ミユビナマケモノの代謝率は体重1kgあたり1日38.7キロカロリーで,同98kcalを要するコアラよりも低い。一方,フタユビナマケモノは同55.9kcalを消費する。ミユビナマケモノのタイトルに迫るのは同44.2kcalのジャイアントパンダだけだ。

 

American Naturalist誌8月号に報告されたこの研究によると,ナマケモノの代謝率が低いのは,中南米のジャングルの林冠部で生きるために一連の行動的,生理的,解剖学的な適応を重ねてきた結果だ。例えばナマケモノの行動圏は狭く,ほとんどの時間は食べるか休むか眠って過ごしている。また,体内のサーモスタットを調節するという珍しい能力を持っている。「ナマケモノはやや異温性で,外気温に連動して体温が5℃ほど変動する。体温調節の手を緩めることで,消費エネルギーを大幅に節約している」とパウリは説明する。ナマケモノは怠け者ではなかったのだ。■

 

ほかにも話題満載! 現在発売中の2017年2月号誌面でどうぞ。

 

サイト内の関連記事を読む