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分類学の分裂〜日経サイエンス2017年1月号より

DNAによる種の決定をめぐり熱い議論が続く

 

このほど,甲虫が格下げになった。甲虫の仲間は分類上で甲虫目というグループをなし,この目(もく)は生物界で最も多くの種からなると考えられていたのだが,Philosophical Transactions of the Royal Society B誌に掲載された最近の研究によると,この栄誉はハエ目(双翅目)に移る。この発見は分類学界に緊張をもたらした。種の決め方をめぐる議論の火に油を注いだ格好なのだ。

 

DNAバーコーディングで種数10倍に

ハエ目の種数が最多であるという結果は,100万匹を超える昆虫を「DNAバーコーディング」によって調べたゲルフ大学(カナダ)の研究チームの解析による。DNAバーコーディングは生物のDNA断片からコンピューターで遺伝子プロファイルを特定する分類法だ。特定されたプロファイルにはバーコードインデックス番号(BIN)が付与され,これが1つの種に対応する。研究チームはハエ目に属する1つの科が1万6000のBINを擁し,従来推定の10倍に上ることを発見した。この数字を全体に外挿すると「地球上の生物に関するこれまでの見方がひっくり返る」と,論文の主執筆者ヘバート(Paul D. N. Hebert)はいう。

 

しかし伝統的な分類学者たちの多くは,BINと種が等価であるとは考えていない。カリフォルニア大学リバーサイド校の昆虫学者で伝統的な分類を支持するヤネガ(Doug Yanega)は,この論文は「彼らが採用した生物の分類法が従来法といかに根本的に異なっているかをいみじくも示している。彼らの数字と私たちの数字は1ケタ以上も違うのだから」という。「実に驚くべき差であり,まるで異なる惑星を見ているようだ」。(続く)

 

続きは現在発売中の2017年1月号誌面でどうぞ。

 

 

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