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クローン動物短命説は誤りだった〜日経サイエンス2016年12月号より

初の厳密な検証が行われ,通常の動物と同じであることが判明した

 

20年前のクローン羊「ドリー」の誕生は,哺乳動物の成体細胞から抽出したDNAを未受精卵に注入することによってドナーとまったく同じ遺伝情報を持つ動物を作成できることを証明した。だがドリーは若くして死んだため(6歳で死亡),クローン動物の寿命は短いという印象が残った。

 

クローン動物は“自然に生まれた”動物よりも生まれつき不健康なのだろうか。それを明らかにするために,英ノッティンガム大学の発生生物学者シンクレア(Kevin Sinclair)は,ドリーの4頭のクローン姉妹であるデビー,デニス,ダイアナ,デイジーを誕生から中年期まで追跡調査した。この4頭はドリーと同じ凍結乳腺細胞に由来するクローン羊だ。シンクレアらはこのほか,別の細胞からつくられた9頭のクローン羊も観察した。

 

これら13頭は現在9歳を超えているが(人間では70歳代から80歳代に相当),すべて通常の羊と同程度に健康であることが,骨のスキャンと血糖値,詳細な血圧測定から明らかになった。「これらのクローン羊は完全に正常だといえる」とシンクレアはいう。Nature Communications誌に報告。
 

 
ではドリーはどうして早世したのだろう? ドリーの研究に携わっていた研究者たちは,ドリーは同じ群れに広まっていた伝染病によって死亡したのであって,クローン特有の問題が原因ではないという。確かにドリーはひざに関節炎を起こしていたが,ドリーが生まれたロスリン研究所(英エディンバラ)の遺伝学者サング(Helen Sang)は,室内で飼育されドリーと同様に頻繁に餌を与えられたヒツジは,みな関節に問題が生じるだろうという。

 

20年たった現在も,クローン作成は自然交配よりも効率が悪い。だが今回の新研究は,クローン動物が胎内で無事に育って出生後の数週間を健康に乗り切れば,自然に生まれた仲間と同様に生き延びると期待できることを示している。

 

クローン技術は現在,研究用の胚性幹細胞(ES細胞)の作製や,高付加価値の家畜の育種に用いられている。クローンに長寿あれ!■

 

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