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自閉症者の優れた聴覚〜日経サイエンス2016年11月号より

音声が伝える感情を鋭くとらえている

 「顔は心の指標」といわれるが,自閉症者は顔の表情から喜びや悲しみなどの感情を読み取れない場合がしばしばだ。多くの研究者はこれを,自閉症者に社会的情報の処理に関する重大な欠陥がある証拠だととらえている。

 だが,感情は声からも汲み取ることができる。最近のいくつかの研究は,自閉症者が音声を聞いて感情や人間らしさの特徴を普通の人と同様に認識できることを示した。むしろ,よりしっかりととらえている。

 ただし,これらの研究は小規模なうえ,成人の高機能自閉症者のみを対象としているので,広範な自閉症者を代表しているとは限らないと,オーストラリアのテレソン児童研究所で自閉症の研究を率いているホワイトハウス(Andrew Whitehouse)はいう。さらに,実験で課題をうまくこなしても実社会での意思疎通がうまくいくとは限らないと,ボストン大学の心理脳科学教授ターガー=フラスバーグ(Helen Tager-Flusberg)は指摘する。

 それでもこれらの研究は,少なくとも一部の自閉症者群が特定の状況下においては,感情の判断能力の欠如が主に視覚情報に限られていることを示唆するものだ。

 「これは治療の面からすると大きな朗報だ」とジョージ・ワシントン大学で自閉症神経発達障害研究所の所長を務めるペルフリー(Kevin Pelphrey)はいう。「感情理解の感覚がまったくない場合に比べれば,顔の表情を視覚的に読み取れないことを克服する手助けをするのはずっと容易だ」。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年11月号誌面でどうぞ。

 

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