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最大級の研究船「かいめい」稼働〜日経サイエンス2016年9月号より

世界最深1万mの深海底まで調査可能

 

海洋研究の第一線で長年活躍してきた海洋研究開発機構(JAMSTEC)の2隻の調査船「かいよう」「なつしま」が退役し,新鋭の海底広域研究船「かいめい」が稼働する。

 

日本は世界6位の広大な排他的経済水域(EEZ)を持っているが,どのような海底資源がどこにどれほど存在するかよくわかっておらず,陸域に大きな被害をもたらす深海底下の巨大地震や海底火山の噴火についても不明の点が多い。気候変動や地球規模の環境変化を探る上でも海洋調査の重要性が増している。「海の解明」にちなんで名付けられた新鋭船の任務は,退役した2隻の代替以上の重みを持つ。

 

 

構造探査と試料採取が主任務

「かいめい」は全長約100m,幅約20m,国際総トン数5747トン。航続距離約1万5000km。定員65人(うち乗組員27人,研究者などが38人)。国際共同で運用している世界最大の科学掘削船「ちきゅう」(5万6752トン)を別格とすれば,原子力船「むつ」を大規模改造した「みらい」(8706トン)に次ぎ,新造の科学調査船としては最大規模だ。

 

運用の主目的の1つは海底下の地殻構造探査。船尾の両端の傾斜路からエアガンとストリーマーという2つの装置を海中に下ろし,これらを曳航しながら行う。エアガンで圧縮空気を海中に放出,強い音波を生み出し,海底下の地層境界面や火山のマグマ溜まりなどから反射してきた音波を,ストリーマー(水中音波受信機を内蔵したケーブル)で受ける。

 

海底下探査には3つのモードがあり,目的に応じて使い分ける。海底の1つの断面を深い領域まで探査する場合は全長12kmに達する1本のストリーマーを曳航,海底下の3次元的構造を調べる場合は,3kmのストリーマーを4本,横方向(幅300m)に展開して曳航する。高解像度の3次元構造を調べる場合は300mのストリーマーを20本,幅240mまで展開して曳航する。

 

探査を行う際,船が発する振動や騒音はノイズとなるので,ノイズ低減のため電気推進システムを採用した。発電機で発電し,モーターでスクリューを回す方式だ。クジラなど海産哺乳類は水中音波に敏感なので,探査海域にそうした哺乳類がいるかどうか監視する監視室を船の最上部に設けた。(続く)

 
続きは現在発売中の2016年9月号誌面でどうぞ。

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