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113番元素は「ニホニウム」〜日経サイエンス2016年8月号より

周期表の第7周期までの全118元素の名前が出揃った

 各国の化学学会や科学アカデミーなどからなる国際純正・応用化学連合(IUPAC,本部スイス・チューリヒ)は6月8日,理化学研究所を中心とする研究グループが発見した周期表の113番元素の名称案を「nihonium」,元素記号案を「Nh」とすると発表した。日本の国名nihonにちなむ名称だ。IUPACは今後5カ月間,意見公募を行い,大きな異論がなければ正式決定となる。日本化学会命名法専門委員会は6月13日,名称案が正式決定されることを前提に113番元素の日本語名を「ニホニウム」とすると発表した。

 IUPACはロシアと米国の共同グループが発見した115番,117番,118番の3元素についても名称案を発表,これによって周期表の第7周期までの全元素の名称が出揃う。

 113番元素は欧米(ロシアを含む)以外の地域で初めて発見された元素。理研の仁科加速器研究センター超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学教授)を中心に日本原子力研究開発機構のほか東京大学や埼玉大学など国内約10大学,中国科学院の2研究所などの研究者が参加するグループが理研の加速器施設を用いた原子核実験で合成した。

 IUPACは昨年末,森田氏らが発見した新元素を113番元素と認定,元素の命名権を与えると発表した。これを受け研究グループはIUPACに提案する元素名と元素記号を決める会議を開き,全会一致でnihoniumと決まった。提案を受けたIUPACは妥当性を内部で審査し,「推奨される113番元素名称案」として公表した。

 6月8日のIUPACの発表を受け,森田氏は同日夜,研究グループを代表してコメントを発表,翌9日午前には埼玉県和光市の理化学研究所本部で記者会見した。森田氏は「人類の知的財産として将来にわたり継承される周期表に,日本を中心とする研究グループが発見した元素とその名前が載ることは,研究グループとして大変光栄なことです」などとコメントで述べている。

日本の国名にちなんで命名

 原子は原子番号(陽子数)と質量数(陽子と中性子の合計数)を持ち,同じ原子番号の原子は質量数が違っても化学的性質が同じなので,それら原子の同位体は1つの元素として扱われ,原子番号が元素番号となる。番号順に1番水素,2番ヘリウム,3番リチウムというように横一列に並べ,一定の規則に従って改行した表を作ると,表の縦列は化学的性質が似た元素グループになる。これが周期表だ。こうした周期性は,原子核の周りを回る電子群(化学反応の担い手)の軌道の構造が,陽子数が増すにつれ,周期的な繰り返しをもって変化することによる。(続く)

続きは現在発売中の2016年8月号誌面でどうぞ。

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