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古文書が語る太陽活動〜日経サイエンス2016年8月号より

科学観測が始まる以前の太陽活動が古代の文書から明らかに

 

IMAGE:国立公文書館

 17世紀初めにガリレオが近代的な天文観測にはずみをつけるまで,太陽活動に関する記録は基本的に存在しなかった──と科学者は考えていた。われらが太陽の埋もれた歴史に光を当てようと,京都大学の研究者たちは古文書を詳しく調べている。これまでに,黒点やオーロラなど太陽に関連する天文現象を示すと思われるものが数十件見つかり,古いものは7世紀にさかのぼる。ガリレオの天文スケッチに比べると解釈の余地が大きいものではあるが,貴重な情報だ。

 

「過去の天気や気候については,それを知る手がかりとして氷床コアや年輪,堆積物を利用できるが,宇宙天気やオーロラとなると痕跡はほとんど残らない」と米航空宇宙局(NASA)の宇宙プラズマ物理学者ツルタニ(Bruce Tsurutani,研究チームには加わっていない)はいう。「だから人間が記録した情報が必要になる」。

 

そこで,京都大学の歴史学者と天文学者が中国・唐王朝時代の手書き文書数百点のほか,7世紀から10世紀にかけての同時代に書かれた日本とヨーロッパの文書を解析した。4月のPublications of the Astronomical Society of Japan(日本天文学会の欧文研究報告)オンライン版に報告されたように,「白い虹」「異様な虹」を意味する言葉が随所に見つかった。さらに,そうした光景が記述された日付は3地域すべての文書で一致した。

 

地理的に遠く離れた場所の人々が現象を同時に報告していることから,この記述はオーロラを指しているとしか考えられないと論文の筆頭著者である京都大学大学院文学研究科の大学院生,早川尚志はいう。オーロラは太陽からの荷電粒子が地球大気の分子にぶつかって生じ,通常は地球の磁極を取り巻くリングになる。

 

太陽黒点の記録

また同チームは昨年,中国・宋王朝(10〜13世紀)の正史に言及されている太陽黒点と思われる事象の包括的なリストを公表した。これらの文書では,黒点を太陽のなかに現れたスモモやモモ,卵として記述している。研究チームはしめて38の太陽黒点と13の“白い虹”,193のその他オーロラ様の事象を割り出し,検索可能なオンラインデータベースにまとめて公開した。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年8月号誌面でどうぞ。

 

 

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