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タリーモンスターの正体〜日経サイエンス2016年7月号より

系統発生学の長年の謎が解けた

 

1955年,アマチュアの化石収集家タリー(Francis Tully)はシカゴ近郊のメゾンクリーク層という化石集積スポットで,非常に奇妙な標本を発見した。その化石はチューブ状の生き物で,両側に突き出た細い棒の先に目玉がついており,長く伸びた口吻の先にはワニのような口がある。「タリーモンスター」と名づけられた3億年前のこの標本は,後にイリノイ州の「州の化石」として有名になった。だが研究者たちはこの生物がいったい何物なのか,さっぱりわからなかった。これまでは。

 

先ごろNature誌に報告された発見によると,この生物は現生のヤツメウナギの祖先筋にあたる。ヤツメウナギは顎のない水生動物で,体形はウナギに似ているが魚類とはまったく異なる円口類というグループに属する。

 

研究チームは1200個のタリーモンスターの標本(ほとんどは長さ15〜20cm)を解析し,これまで腸の一部だろうと考えられていた部分が実は脊索(原始的な背骨)であることに気づいた。脊索は下向きにカーブしており,研究チームはこの生物が同様の特徴を持つヤツメウナギと近縁であるとの結論に達した。

 


Courtesy of Sean McMahon Yale University

 

だが,エール大学に所属していたときにこの研究を率いた古生物学者のマッコイ(Victoria McCoy,現在は英レスター大学)は,これで事件がめでたく解決したとは考えていない。「タリーモンスターがどのように暮らしていたのか,まだほとんどわかっていない」という。「だが,今後は現生のヤツメウナギなどを参考にして研究を進められる。この太古のモンスターの謎めいたライフスタイルが見えてくると期待している」。■

 

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