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マッシュルームバーガーに注目〜日経サイエンス2016年6月号より

牛肉よりも健康的で環境負荷も小さい

 

 米国の学校で行われる今年最大の科学実験の1つはフラスコではなくバーガーパティのなかで進んでいる。全米で300を超える校区の生徒が,給食で牛肉100%のハンバーガーの代わりに,肉とマッシュルームを混ぜた「ザ・ブレンド」を食べている。

 

 このキノコ合挽きは,料理学校のカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカが2011年にマッシュルーム協会と共同で立ち上げた「ヘルシー・フレイバー・イニシアチブ」を起源とする。牛肉料理の不健康な点をマッシュルームでカバーする方法を探る取り組みだ。両者はその後,カリフォルニア大学デービス校の感覚科学者ギナール(Jean-Xavier Guinard)と組んだ。彼の研究室は食物の味のテストと特徴づけが専門。こうして2014年,ザ・ブレンドは誕生した。

 

肉のうま味で低カロリー

 なぜ牛肉の代わりにマッシュルームを使うのか? マッシュルームは肉の味をもたらす「うま味」成分を含んでいる。だが牛肉と違ってマッシュルームは低カロリーで,ナトリウムが少なく,飽和脂肪は含まない。こうした栄養上の利点に,国民保健基準を守らなければならない学校区が注目し,マッシュルームミックスを試すことにした。例えば昨年秋,学校給食サービス会社のソデクソは,従来のハンバーガーをマッシュルーム30%のものに替えた。今年度に例年と同数のハンバーガーを給食に出した場合,生徒たちが摂取する飽和脂肪の総量は約1600万g減り,ナトリウムは3億mg少なくなるとソデクソは推定している。

 

 マッシュルームは赤身肉の“グリーン”な代替にもなる。栽培・供給業者は環境への影響を数値化していないが,コロラド州立大学にいる生物農学の助教ブロダーズ(Kirk Broders)は「畜産よりも持続可能性がはるかに高まるだろう」と指摘する。マッシュルーム栽培に必要な資源は比較的少なく,商業栽培品種は炭素の豊富な農業副産物(トウモロコシの皮など)と堆肥があれば育つ。家畜に必要な空間や抗生物質も不要だ。さらに短期間で収穫できる。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年6月号誌面でどうぞ。

 

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