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「あかつき」金星観測開始!〜日経サイエンス2016年6月号より

観測機器が順調に稼働,データが得られ始めた

 

探査機「あかつき」による金星観測が本格的に始まる。2010年12月,主エンジンの不調で金星周回軌道への投入に失敗,昨年12月,金星再接近の機会を得て,姿勢制御用小型エンジン4基を20分も噴射させる異例の措置で軌道投入に成功した。設計寿命を1年以上超過,装置の劣化が懸念されたが,宇宙航空研究開発機構(JAXA)が3月31日に行った試験観測の中間報告によると観測機器は順調に立ち上がり,かなりのデータが得られている。

 

「あかつき」は金星の大気や雲の動きを観測する金星の気象衛星だ。金星はサイズと質量は地球とほぼ同じだが,自転と大気組成は大きく異なる。自転は地球とは反対の時計回りで自転周期は243日と公転周期(225日)より長い。大気は二酸化炭素(CO2)が約97%を占め,温室効果で地表近くの気温は460℃に達する。地表での気圧は約90気圧。地球では水深900mの水圧に相当する。このような自転と大気組成の違いを持つ地球の双子惑星で,どのような大気の循環が実現しているのか,「あかつき」は様々な角度から観測し,そのメカニズムを探る。研究成果は地球大気圏のモデル作りに役立ち,温暖化による気候変動の研究が進展すると期待されている。

 

金星大気の動きで特に注目されるのは「スーパーローテーション」だ。金星の自転速度は赤道で秒速1.6mとゆっくりなので,大気は自転とほぼ同じ速さで動くと思われていたが,実際には大気は秒速約100m(自転速度の約60倍)で自転方向に動いていることが,先行探査でわかった。金星大気は金星そのものよりも猛スピードで回っているわけで,この大気の動きをスーパーローテーションと呼ぶ。なぜそうした動きが生じるのか,「あかつき」がメカニズムの解明に挑む。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年6月号誌面でどうぞ。

 

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