News Scan

愛が勝つ〜日経サイエンス2016年4月号より

シジュウカラは食べ物よりも夫婦の大切な時間を優先する

 

IMAGE:Great Tit

ほとんどの鳥がそうであるように,シジュウカラも(ほとんどは)一夫一妻だ。毎年冬になると,美しい黄色の胸を持つこの鳴き鳥のつがいは来る繁殖期に備えて再会し,ほとんどの時間を一緒に過ごす。縄張りを見張り,巣を作り,食事まで一緒にする。絆の強さは明らかだが,もし愛と餌のどちらかを選べと迫られたらシジュウカラはどうするだろう?

 

これを調べるため,英オックスフォード大学の動物学者ファース(Josh A. Firth)らは英国の田舎町近くの森に餌箱を置いた。奇数番号を記録したマイクロチップを付けた鳥だけが開けられる餌箱と,偶数番号のチップを付けた鳥だけが開けられるものの2種類がある。つまり,つがいの2羽がともに奇数または偶数のチップを付けていれば,同じ餌箱を開けて一緒にヒマワリの種子を食べられるが,奇数と偶数に割れたつがいは別の場所で食べなければならない。

 

研究チームは3カ月にわたって17組のつがいを観察した。うち奇偶に分かれて一緒に食事ができないペアが7組あった。この奇偶ペアが,片方の鳥には開けられない餌箱を訪れた回数は,奇数どうしまたは偶数どうしのペアが開けられない餌箱を訪れた回数の4倍近かった。つまり,片方が食事にありつけなくてもペアは一緒にいることが示唆された。去る12月のCurrent Biology誌に掲載。

 

頼りになるのはあなた

シジュウカラのつがいは後でお互いが必要になるので,どちらか片方が空腹でも一緒にいるのかもしれない。「シジュウカラにとって夫婦の絆は非常に重要だ」とファースはいう。「片親では雛を育てられない。繁栄は頼りになるパートナーを得られるかどうかにかかっている」。

 

英ウェールズにあるスウォンジー大学の行動生態学者キング(Andrew King)は,霊長類から魚類まで様々な動物で同様の行動が観察されているという。「餌が少なくても“友”と一緒に食べるほうが,たくさんの餌をひとりで食べるよりもよいのだろう」。実際,上の実験で餌にありつけなかった鳥の多くは最終的に,パートナーの餌箱が開いている2秒の間にそこから餌を素早くせしめるすべを身につけた。■

 

ほかにも話題満載! 現在発売中の2016年4月号誌面でどうぞ。

 

サイト内の関連記事を読む