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暗黒物質粒子の検出へ王手〜日経サイエンス2016年4月号より

これでも見つからなかったら暗黒物質モデルは振り出しに戻る

 

暗黒物質(ダークマター)について物理学者がうまい説明をつけるには,いまこそ好機,逸すべからず。物理学者の多くは宇宙に充満しているらしいこの見えない物質がWIMP(弱い力で相互作用する質量のある粒子)というタイプの粒子でできていると考えており,WIMPを探す過去最大かつ最高感度の実験「XENON1T」が3月,イタリアのグランサッソ国立研究所で始まる。

 

このプロジェクトは1980年代から暗黒物質を探し続けてすべて空振りに終わった一連の検出器の最新版だ。この捕らえどころのない粒子を今後数年内にXENON1Tでも発見できなかった場合には,物理学者たちは現在最有力の理論を諦めて,もっと風変わりな説明を探究する必要に迫られるだろう。「現在最高の理論モデルはいずれもXENON1Tで検証できる範囲にある」と,同実験に携わるパデュー大学の物理学者ラング(Rafael Lang)はいう。「WIMPが見つからなかった場合,それは私たちの仮説が完全な間違いであることを意味し,本当に振り出しに戻らざるをえない」。

 

WIMPが衝突したキセノンの発光を狙う

WIMPは超ひも理論から予測される粒子だ。素粒子物理学の「標準モデル」を拡張したこの理論は,宇宙の物質を構成するあらゆる既知の基本粒子に,その相方となる粒子が存在すると考える。WIMPはそうした超対称性粒子のうち最も軽いものだ。暗黒物質WIMP説が支持を集めているのは,超ひも理論から予測されるWIMPの量が暗黒物質の量とまさに無理なく一致するためだ(暗黒物質はそれが発揮する重力から存在が確信されている物質で,宇宙の全物質の84%を占めると推定される)。理論的に考えられたWIMPの多くのバージョンはこれまでの探索実験で何も発見されなかったためにすでに除外されたが,まだ残されている可能性のうちのどれかが今後の実験で姿を現すだろうと研究者たちは期待をつないでいる。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年4月号誌面でどうぞ。

 

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