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バイソン流の民主主義〜日経サイエンス2016年3月号より

野牛の群れは行き先を多数決で決めている

 

Growing Herd

都市では数年ごとに市長選がある。これはわりと簡単な手順で,市民が投票し,最多数を取った候補者が勝つ。そして同じようなことをウシの仲間も行っている。フランス国立科学研究センター(CNRS)の生態学者ラモス(Amandine Ramos)は,ニースから約30kmのところにあるモンダジュール生物保護区でヨーロッパバイソンの群れを3カ月間観察した。その結果,バイソンが多数決ルールに従って行動していることがわかった。

 

ラモスの観察によると,ヨーロッパバイソンはどちらの方向に動きたいかを,自分の身体の向きで示して“投票”している。草を食べたい場合には草地のほうを向き,喉の渇きをいやしたいバイソンは水場の方角を向く。そしてついに1頭が動く。これが群れの大多数が望んでいる方向であれば,群れはその動きについていく。だが,あまり人気のない方角だった場合には少数が続くだけで,一時的に群れが分裂することもある。

 

どのバイソンも移動の口火を切ることができるが,多くのフォロワーを集めるのは大人のメスであることが多い。基本的には最も多くの票を集めた1頭が勝ち,群れの大半を率いる形になる。最近のAnimal Behaviour誌に報告された。

 

コミュニケーションと合意形成

この発見は畑を荒らすバイソンと農家の対立を和らげるのに役立つ可能性がある。リーダーになりそうなバイソンに首輪をつけて軽い電気ショックを与えることで,群れ全体の動きをうまくコントロールできるかもしれない。

 

ヒトやヨーロッパバイソンのほかにも,集団で意思決定をしている動物はいる。アフリカスイギュウなどの有蹄類からトンケアンモンキーなどの霊長類まで,様々な動物でも同様の行動が観察されている。ラモスは今回の研究を通じて,「コミュニケーションと合意形成が動物界にも存在する」ことに改めて気づかされたという。民主主義は自由主義国家のホモ・サピエンスに固有のものではない。

 

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