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小惑星衝突のリスク〜日経サイエンス2016年3月号より

NEO探索用宇宙望遠鏡は実現するか?

 

恐竜を滅ぼした小惑星は地球近傍天体(NEO)だった可能性が高い。太陽を周回しているうちに,時おり地球のそばにやってくる小惑星だ。米航空宇宙局(NASA)など複数の宇宙機関は地球に接近してきた小惑星をそらして向きを変える方法を開発中だが,そうしたテクニックが役立つのは危険なNEOを事前に発見できた場合に限るだろう。しかしながらNASAのNEO探索は計画通りには進んでいない。

 

中規模NEOの90%を2020年までに

2010年,NASAは直径1km以上のNEOの90%を見つけてリストアップするという米国議会から求められていた作業を完了した。衝突すると地球規模の災害をもたらす大きさの天体だ。これら破局サイズの天体のうち地球との衝突コースにあるものは知られていないが,より小さな数百万個のNEOが未発見のまま存在している。ちっぽけなものでも,局所的には大問題を引き起こす恐れがあるだろう。実際,2013年にロシアのチェリャビンスク上空で爆発した大きさ18mの岩石は3000万ドルの損害をもたらし,1600人以上の負傷者が出た。

 

小ぶりのNEOの脅威を認識した米国議会は2005年,NASAに対する要求水準を高め,直径140mを超える中規模NEOの90%を2020年までに特定してリストアップするよう求めた。だが議会はこの野心的目標を達成するための十分な新規予算をNASAに提供しそこなった。

 

このため探索作業は大幅に遅れている。NASAのNEO調査プログラム担当官ジョンソン(Lindley Johnson)は「現在の観測能力では2020年という期限は達成できない」という。現在は地上にある3基の光学望遠鏡に多くを頼っているが,最大級のNEOが最も近づいても非常に暗いので見つけにくい。また,この手法による探索は天文台の上空が暗くて晴れている時間に限られる。NASAの広域赤外線探査衛星(WISE)も,太陽光で暖められたNEOが発する熱放射を検出する方法でNEOを探索しているが,この探査衛星は早ければ2017年にも機能が停止する見込みだ。

 

これらの制限を考え合わせると,未検出のまま太陽系内に潜んでいる推定数万個の中規模NEOを見つけるには,このままではさらに30~35年が必要になる。「期限を守れなくても罰則はない。地球に向かってくるでかいやつがそこになければの話だが」とジョンソンはいう。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年3月号誌面でどうぞ。

 

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