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宇宙天気の予報体制を強化〜日経サイエンス2016年1月号より

米国が探査機打ち上げ,日本はデータ受信システム整備など

 

「宇宙天気予報」という言葉には,どこかのどかな響きがあるが,現実の宇宙の悪天候(磁気嵐や電離層の擾乱)は航空機や通信網の安全や安定的な運用に大きな脅威をもたらす現象だ。世界各国は協力して予報システムの開発に取り組んでおり,新しい予報体制ができあがりつつある。

 

米航空宇宙局(NASA)や海洋大気局(NOAA)などは2015年2月に新しい深宇宙気候観測衛星「DSCOVR(Deep Space Climate Observatory)」を打ち上げた。民間のロケット「ファルコン9」を使って打ち上げ,6月には地球と太陽の引力が釣り合うラグランジュ点(地球からの距離は約150万km)に到達した。現在は試験観測中で,2015年中にも前任の衛星に代わって本格運用を始める予定だ。

 

SWC宇宙天気予報センターより

DSCOVRは太陽からの電磁波や高エネルギー粒子の流れ(太陽風)をとらえ,地球の磁気圏や電離圏などに与える影響を予測する。米国は大統領の指令に基づき,地震や津波,核テロ,感染症流行など国家的な危機事態を洗い出し,対応策を練っているが,その一つに「宇宙天気」があげられている。

 

日本では情報通信研究機構(NICT)が太陽の状況を独自に観測し,1988年から予報を出している。毎日午後2時半時点の予報を午後3時にウェブ上(http://swc.nict.go.jp/forecast/)に掲載しており,衛星運用機関や航空関係機関,電力会社,アマチュア無線家などから月16万件ほどアクセスがあるという。

NICTは2014年3月,本部(東京都小金井市)に太陽風観測データの受信設備を新設(下の写真),DSCOVRからの情報を受けられるようにした。また鹿児島県指宿市にある山川電波観測所には同時期に,新たな太陽電波望遠鏡を設置,米国の衛星とは独立に太陽を観測し,太陽表面で起きる大爆発(フレア)の早期発見を目指している。

 

太陽表面の異常は発生後,約8分でとらえられる。太陽風が届くには2〜3日かかる。山川の電波望遠鏡でフレアの発生を迅速にとらえ大まかな規模を把握,米国の衛星からの詳しい情報(太陽風の強さや磁場の向きなど)を得て,磁気嵐が発生する数時間前に警報の発令などを可能にする計画だ。(続く)

 

続きは現在発売中の2016年1月号誌面でどうぞ。

 

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