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フォスフォレンに熱い視線〜日経サイエンス2015年12月号より

グラフェンよりもトランジスタには好適か

 

目下のところ,工学分野の驚異の新素材リストの筆頭はグラフェンだ。炭素原子からなるこの単層の素材は信じ難いほどの物理的強度と柔軟性に加え,ユニークな電気特性を備えており,携帯電話の充電器から浄水フィルターまで様々な応用が研究されている。

 

だが期待を裏切る点が1つある。グラフェンは本来は半導体ではないのだ。グラフェンに手を加えてトランジスタ(電流を制御する素子)として機能させる研究開発が徐々に前進してはいるが,工学研究者たちはグラフェンと似た構造を持つ有望な別の物質にも目を向けつつある。単層の黒リン,「フォスフォレン」だ。

 

黒リンはリンの同素体の一種で,高圧下で生じる。100年ほど前に発見され,超電導特性も備えている。2014年,パデュー大学の研究チームが黒リンから単層の原子シートを分離したのをきっかけに,フォスフォレンの研究が一斉に始まった。この2次元物質の名称を含む論文が今年だけで400本以上発表されている。

 

高効率のトランジスタになる可能性

効率の低い電子材料をフォスフォレンで置き換えようという期待が高まっていると,加マギル大学の2次元物質の専門家スコペック(Thomas Szkopek)はいう。黒リンは「正真正銘の半導体だ」とスコペックはいう。つまり導電性のオン・オフを切り替えることができる。この性質のおかげで,フォスフォレン中を流れる電流を何ケタも変えられる。そうした制御によって漏れ電流を最小限に抑え,トランジスタの効率を理論限界へ一歩近づけることができるだろう。従来のトランジスタは一般にシリコンでできており,その効率は熱力学的な理論限界のざっと100万分の1にすぎない。(続く)

 

続きは現在発売中の12月号誌面でどうぞ。

 

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