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みんなでウソを見抜く〜日経サイエンス2015年11月号より

1人の判断よりも精度が上がる

 

 泳ぐ視線,そわそわした態度,手のひらの汗──これらは古典的なサスペンス映画ではウソのサインだ。だが現実には,ウソをついていると見抜くのは驚くほど難しい。訓練を積んだプロでさえ,その精度は偶然をほんの少し上回る程度だ。法廷はポリグラフ(ウソ発見器)による証拠を認めなくなっている。この検査はウソ判定の基準となる質問が標準化されていないからだ。

 

ウソを見抜く精度を上げるには,疑わしい主張についてグループで話し合うのが最善の方法らしい。シカゴ大学の心理学者チームは,個人の判断よりもグループのほうがウソ検出の信頼性が一貫して高いことを発見した。

 

ウソを見抜く率が8.5%アップ

この研究では,ある人が話している様子を撮影したビデオを被験者に見せ,ビデオの人物が真実を話しているのか罪のないウソをついているのかを判定してもらったのだが,ビデオを被験者1人で見た場合と他の人々と一緒に見た場合で違いが出た。実験を36回行った結果,真実を話していると正しく判定した率はグループも個人も同程度だったが,ウソを見抜いた率はグループのほうが8.5%高かった。グループの人数が3人でも6人でも,ウソを特定した正答率は同等だった。

 

正答率がわずかに上がったのは会話を通じて得られた識見のおかげだろうと研究チームの一員クライン(Nadav Klein)はいう。自分の見方を他の人と話し合うことによって新たな視点が得られ,理解が深まる。6月に米国科学アカデミー紀要に報告された。

 

“裁きの天秤”たる法廷もこれに応じて再較正されることになるかもしれない。例えば裁判官は陪審員に対し,証拠を客観的に検討するよう求めるだけでなく,証人の正直さを評価するようはっきり指示することが考えられると,ロヨラ大学シカゴ校の心理学者ティンダル(R. Scott Tindale)はいう。そう指示した場合,陪審員団は評議で証人の信頼性について話し合い,ごまかしを見抜く可能性が高まるかもしれない。

 

群集心理を推奨する人はいないが,ウソを判断する場合にはみんなの見解をすり合わせるのが賢い方法らしい。■

 

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