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ペンタクォーク確認〜日経サイエンス2015年11月号より

LHCの実験データを解析した結果,5個のクォークでできた粒子が浮かび上がった

 

ジュネーブ近郊にある大型ハドロン衝突型加速器LHCの内部では近年,かのヒッグス粒子をはじめ実に様々な新粒子が生成された。そうした実験データのなかに,先ごろ新粒子がもう1つ姿を現した。陽子や中性子を作り上げている基本粒子であるクォークが5個集まってできた「ペンタクォーク」だ。

 

ペンタクォークの存在が理論的に予言されたのは50年以上も前で,その発見が待ち望まれていた。今回の確認は,物質を作り上げる材料ユニットであるクォークがどのように結びついてこの宇宙を作り上げているのかについて新たな手がかりを提供してくれる。

 

今回は“本物”

ペンタクォークが観察されるまで,加速器内の粒子衝突で生まれて飛び散る多数の粒子のうちクォークからできているものは,クォーク3個が集まったバリオン(陽子や中性子など)と,クォークと反クォークがペアになったメソン(中間子)の2つのタイプだけだった。

 

この状況は物理学者を当惑させてきた。クォークの挙動を記述する数学的理論モデルは2個と3個以外の他の組み合わせを禁じてはいないからだ。そうした組み合わせの粒子を検出したとの報告例も一部にはあったが(2個のクォークと2個の反クォークからなるZc(3900)という粒子など),異論も多く確実とはいえなかったとピッツバーグ大学の物理学者スワンソン(Eric Swanson)はいう。また,ペンタクォークを確認したとする10年ほど前の報告は結局のところ事実誤認だった。

 

だが今回は本物のようだ。「私はこの追跡ゲームに加わって30年というもの,有望そうなデータが出ては消えていくのをずっと見てきた」とスワンソンはいう。彼は今回の発見には関与していないが,「このケースはデータが明確であり,ペンタクォーク以外に有力な説明は思い当たらない」という。LHCの研究チームは今回の発見を8月のPhysical Review Letters誌に発表した。(続く)

 

続きは現在発売中の11月号誌面でどうぞ。

 

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