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空飛ぶ円盤,火星に着陸!?〜日経サイエンス2015年7月号より

円盤形の着陸装置を本格テスト

 

火星旅行で最も困難なのは着陸だ。火星の大気は薄いので,パラシュートだけでは火星大気に突入する猛スピードの宇宙船を減速しきれない。一方,ロケットの逆噴射だけで軟着陸するにはかなりの燃料が必要になり,近未来の火星ミッションでそうした燃料を持っていく余裕はない。

 

米航空宇宙局(NASA)のこれまでの火星探査機はパラシュートと逆噴射ロケットを併用してきた。あのハイテク探査車キュリオシティが2012年に着陸したときも,1970年代からの時代もののパラシュート装置が使われた。だが,この技術が使えるのは重量1.5トンの探査機まで。それ以上になると,砂塵にけむるクレーターしか残らないだろう。より充実した無人探査,そして究極的には有人探査を実現するには,新しい着陸法が必要だ。

 

NASAはこの6月,低密度超音速減速機(LDSD; Low-Density Supersonic Decelerator)という新しい着陸機の概念実証テストを予定している。LDSDを使えば,火星の様々な地形に下ろせる重量がこれまでの2倍になる。

 

巨大気球で太平洋上の成層圏に

LDSDは空気で膨らませることのできる直径6mのアラミド樹脂製の円盤と,超音速のスピードに耐えられる直径30mのパラシュートからなる(このパラシュートは過去最大)。人間の着陸に適した直径8mの円盤も開発中だ。比較的軽い円盤と巨大なパラシュートの組み合わせによって,大量の燃料や重たい耐熱シールドを用いることなく,より多くのペイロードを火星に届けられる。

 

今回のテストでは,火星の薄い大気の代用品として地球の成層圏上層を利用する。まず,サッカースタジアムサイズの巨大な気球によってLDSD(試験用の模擬機)をハワイ島近くの太平洋上空37kmに揚げる。(続く)

 

 

続きは現在発売中の7月号誌面でどうぞ。

 

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