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小さなトイレ〜日経サイエンス2015年7月号より

巣の内部にトイレを作るアリがいる

 

フンコロガシを別として,ほとんどの動物は糞を避けるのに最善の努力を傾ける。人間はふつう,排泄物を流すための専用の部屋を作る。糞を嫌うこの傾向は正当な理由があって進化した。排泄物は微生物にとって理想的な繁殖場所であり,その微生物のなかには重大な病気を引き起こすものもいるのだから。

 

コロニーを作って生活する昆虫の多くは人間と同様,巣の内部を清潔に保つ方法を進化させた。ミツバチは巣から外に飛んで行って排泄する「排便飛行」という行動をする。ハキリアリなど一部のアリは,餌とするキノコを栽培している畑の肥料に自分たちの糞を使うが,その作業を許されているのは“衛生担当働きアリ”だけだ。アリは一般にきれい好きで有名で,死骸は巣の外に運び出し,残飯などのゴミは専用の部屋に捨てる。

 

なので,独レーゲンスブルク大学の生物学者チャチュケス(Tomer J. Czaczkes)はトビイロケアリ(Lasius niger)の白いしっくいの巣の隅に黒っぽい斑点が積み重なっているのに気づいて驚いた。そして7年がかりの観察の末,この黒い斑点は糞であると考えるようになった。

 

これを確かめるため,チャチュケスはアリの餌に人工着色料を加え,これを21のコロニーに与えた。すると確かに,黒い斑点が赤と青の明るい色に変わった。このアリの糞の山に残飯や死骸などの破片が混ざることはなかったので,チャチュケスらはこの場所を「トイレ」と呼ぶのが適切であると結論づけた。詳細は2月にPLOS ONE誌に報告。(続く)

 

続きは現在発売中の7月号誌面でどうぞ。

 

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