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双子の宇宙実験〜日経サイエンス2015年5月号より

宇宙滞在中の弟と地上の兄で遺伝子発現などを比較する

 

3月以降,退役宇宙飛行士のマーク・ケリー(Mark Kelly)が一卵性双生児の弟と話すには,はるか遠くへ長距離電話をかけなければならない。国際宇宙ステーション(ISS)まで。

 

兄と同じく宇宙飛行士になった弟のスコット・ケリー(Scott Kelly,51歳)は,宇宙旅行が人間の健康に及ぼす影響を調べる研究のため, ISSに1年間滞在することになっている。ケリー兄弟はDNAが同一だから,無重量環境での遺伝子発現の変化を観察して,それを地球上の準対照と同時進行で比較するというまれな機会が得られる。このほか,双子の脳内血流やマイクロバイオーム(微生物叢)の構成,細胞の老化を知らせるテロメア(染色体末端の保護キャップ)の劣化速度の比較も予定されている。

 

ISSに搭乗した宇宙飛行士は200人を超え,ケリー兄弟も複数回の経験がある。2000年11月に初のクルーがISSに到着して以来,長期宇宙滞在に宇宙飛行士がどう反応するかがずっと観察されてきた。2009年に199日間滞在したバラット(Michael Barratt)は「まるで逆さづりになっている気分になる」という。さらに「私たちは非常に厳しい訓練を受けており,すべての任務,特に最初の2週間くらいの任務は完全に把握している。だから気分があまりよくなくても訓練とチェックリストのおかげでしのげる」という。

 

米航空宇宙局(NASA)は長期間の宇宙滞在が身体に及ぼす影響をすでによく把握しており,そうした症状についても双子をモニターする予定だ。■

 

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