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冷蔵庫の「破裂音」の正体〜日経サイエンス2015年5月号より

解明されたものの解消は困難

ブーン。ウィーン。キーン。冷蔵庫の音にはイライラして頭がおかしくなりそうだ。実際,多くの人がそう感じている。2006年に韓国の技術者チームが発表した調査によると,冷蔵庫を持っている人の半数以上がその騒音に悩まされている。特にうっとうしいのは霜取り不要冷蔵庫に固有の音で,コンプレッサーの回転が上がるときにパシッとはじけるような音が部屋に響き渡る。原因が不明だったため,トルコにあるMEF大学とイスタンブール工科大学の機械工学者たちは発生源を突き止める調査に乗り出した。

 

まず,実験台を作るため,冷蔵庫から余分な装備を取り除いた。コンプレッサーとファン,ヒーター,蒸発器,冷却管など,必要最低限の部品だけを含んでいる。様々な部品に振動センサーとマイクロホンをテープで貼り付け,部品を個別に,またはいろいろな組み合わせで作動させた。この結果,パシッという「破裂音」が最も頻繁に(そして大音量で)生じるのは冷蔵庫の自動霜取り段階でヒーターが稼働しているときであると判明した。霜取り不要冷蔵庫は霜の蓄積を防ぐため加温と冷却を繰り返している。結果はApplied Acoustics誌3月号に発表。

 

スティックスリップ現象

より詳しくいうと,これらの突発音はヒートパネルに接触している金属などの材料が温度の急変によって収縮・膨張する際に生じるようだ。少し動いてはつっかえる「スティックスリップ現象」と呼ばれるものだと,マサチューセッツ州ケンブリッジにある音響コンサルティング会社アセンテックの騒音・振動グループ長ボーエン(David Bowen)はいう。真犯人は摩擦。通常は静止摩擦力でくっついている部品どうしが突然すべって動き,これによってヒートパネルが振動して音を出す。

論文の著者たちは,加熱速度を抑えるなどして破裂音を減らす方法はあるという。だが,突発的な音の発生は定量化も特定も難しいので,結局のところ品質検査をすり抜けてしまうだろうとボーエンはいう。「これは本当にイライラさせられる雑音だ」。■

 

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