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宇宙線をつかまえろ〜日経サイエンス2015年2月号より

新型観測装置の準備が進む

 

宇宙線は光速に近いスピードで宇宙のあらゆる方向から飛んできて地球にぶつかる。この荷電粒子は宇宙の放射のなかで最も高エネルギーだが,発生源は不明だ。天体物理学者たちは,高エネルギー宇宙線は遠い銀河の超大質量ブラックホールか,ビッグバンでできた粒子の崩壊から生まれたのではないかと推測している。

 

起源が何であれ,こうした高エネルギー宇宙線が地球大気に衝突するのは面積1km2につき100年に1回ほど。衝突は数百億個の二次的な低エネルギー粒子から成る「空気シャワー」を生じ,それが大気中の窒素分子を励起する。この結果,空気シャワーの通り道に沿って紫外線の蛍光が生じる。科学者たちは空気シャワーの経路から宇宙線の飛来方向とエネルギーを割り出し,その軌跡を何百万光年もさかのぼって再構築することによって,発生源を特定しようとしている。

 

こうした極端な事象が見られるのはまれだ。地上での観測では,検出器の真上で宇宙線が大気に衝突しないと検出できない。アルゼンチンにあるピエール・オージェ観測所は世界最大の宇宙線検出器を備え,米国ロードアイランド州とほぼ同じ広さ(東京都の1.5倍くらい)の地域をカバーしているが,超高エネルギー宇宙線による空気シャワーの検出は年間に20件ほどだ。

 

宇宙から広視野で見るJEM-EUSO

観測のチャンスを増やそうと,15カ国の科学者が10年以上前にチームを組み,国際宇宙ステーション向けの装置を設計した。この極限エネルギー宇宙線観測装置(JEM-EUSO)は日本の実験棟「きぼう」に設置される予定で,地球に向けた広角の高速ビデオカメラによって紫外線の放出を記録することになる。観測領域が広いので,より多くの空気シャワーを確認できるだろう。

 

同チームは当初,2006年に打ち上げたいと考えていた。ところが地球上のトラブル(まず2003年のスペースシャトル・コロンビア号の事故,次に2011年の福島第1原発の炉心溶融,さらに最近のウクライナの紛争)によって遅れ,配備は早くて2018年になる。(続く)

 

続きは現在発売中の2月号誌面でどうぞ。

 

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