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オリオン宇宙船,処女飛行へ〜日経サイエンス2015年1月号より


Image:NASA

NASAの命運をかけたテスト飛行が実施される

 

 

米航空宇宙局(NASA)はスペースシャトルを退役させた2011年よりもずっと前から,後継となる次世代宇宙船の開発を進めてきた。2005年に基本設計されたオリオン宇宙船だ。その準備が整い,2014年12月に初の試験飛行が行われる。

 

より遠くの宇宙に人間を運ぶために設計されたこの円錐形の宇宙船は有人月探査に使われたアポロ宇宙船のカプセルを思わせるが,サイズは3割増しだ。広くなったスペースに2人ないし6人が乗り組み,21日間のミッションを実行できる。宇宙ステーションを除くと,これほどの長期滞在が可能な宇宙船はない。

 

近く行われるテスト飛行では無人の宇宙船をケープカナベラルから打ち上げ,4時間飛行させる。カプセルを覆うように先端部についている脱出用ロケット部を安全に分離できるか,パラシュートが適切に展開するか,耐熱シールドが再突入時の2200℃の高温に耐えられるかを確認する。

 

このテストは2021年に予定されている近傍小惑星への有人飛行に道を開く。究極の目標は火星への旅で,その場合は居住スペースを追加するため別のモジュールをオリオンにドッキングさせた形で火星に向かうことになるだろう。

 

乾坤一擲の220億ドル

実際のミッションでオリオンの打ち上げに使われるのはNASAが開発を進めている過去最強の大型ロケット,スペース・ローンチ・システム(SLS)だが,今回のテストではユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ロッキードマーチンとボーイングの共同出資会社)のデルタⅣヘビーロケットが代わりを務める。デルタⅣの推力は900トン近いが,SLSの3800トン(アポロの打ち上げに使われたサターンⅤロケットの10%増し)に比べるとずっと小さい。オリオン宇宙船とSLSの開発費は総額220億ドルになるとNASAは見積もっている。

 

そうした資金だけでなく,今回の処女飛行には多くの期待がかかっている。スペースシャトルが退いて以来,米国の宇宙飛行の未来には雲が立ちこめていた。試験飛行はNASAが待ち望んでいた活性剤になるだろう。■

 

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