News Scan

おうちはどっち?〜日経サイエンス2015年1月号より

一部の渡り鳥は母親と父親から矛盾した指令を受け取っている

 


Image:Seabamirum 

毎年秋になると,北半球の渡り鳥は寒さを避けて南へ移動する。人間がそんな旅をするには地図が必要だろうが,渡り鳥はルートを少なくとも部分的には遺伝子のなかに記録しているらしい。外部の手がかりだけに頼っているのではなく,渡りの飛行計画を生まれつき持っているのだ。

 

同じ集団に属する個体の大半は,有利な風向きと地形を生かした同じルートを飛ぶ。だが,なかには“混血鳥”もいる。飛行ルートの異なる別の群れ出身の親鳥から生まれた鳥だ。こうした混血鳥はどんなルートを選ぶか?

 

初期の実験では,混血鳥は親鳥が飛ぶ各ルートの中間を取ることが示唆された。この実験では研究室育ちの鳥を使い,鳥が飛びたがっている方角を記録するように設計された鳥かごを用いて飛行ルートの好みを評価した。「素晴らしい研究ではあったが,本当に必要なのは野生の鳥を1年かけて追跡することだった」と,ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)の大学院生デルモア(Kira Delmore)はいう。

 

GPS装置をつけて追跡

デルモアらは野生のオリーブチャツグミ97羽に小型GPS追跡装置をつけた。一部は北米西海岸沿いにメキシコやグアテマラ,ホンジュラスに渡る亜種に属し,その他は中東部を通ってコロンビアやベネズエラに飛ぶ内陸性の亜種に属する。そして両集団の生息地が重なるカナダ西部海沿いの山岳地帯にある小領域で生まれた混血鳥がいる。

 

研究チームは21羽から有益なデータを回収し,一部の混血鳥が両親の飛行ルートの中間を飛ぶことを示して先の実験室研究を確認した。他の混血鳥は混合ルートを取り,春には片方の親の飛行ルートを,秋にはもう片方の親のルートを飛んだ。このほか,どちらか片方の親のルートだけを飛ぶ鳥もいた。面白いことに,中間ルートを取った混血鳥の一部は,最終到着地も中間地点になった。「混血鳥の渡りルートと目的地の両方が中間的なものになる例を示した論文は初めてだ」とカナダにあるヨーク大学の鳥類学者スタッチベリー(Bridget J. Stutchbury)はいう。Ecology Letters誌10月号に掲載された。(続く)

 

続きは現在発売中の1月号誌面でどうぞ。

 

サイト内の関連記事を読む