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殺しの捜査にアメーバが協力〜日経サイエンス2014年12月号より

死亡時期の推定に役立つ可能性がある
 
 死亡事件を扱う科学捜査官の重要な仕事に,その人がいつ死んだかの特定がある。死後48時間までは,死体の硬直や体温など医学的な方法を利用できる。それより長くなると,死体にたかる甲虫類やウジ虫の年齢などに頼って推定せざるをえなくなる。だが約1カ月たつと,昆虫は食べるものがなくなってどこかへ行ってしまい,もはや死亡時期を特定する術はなくなる。

 

 ヌーシャテル大学(スイス)の法生物学者セレジス(Ildikò Szelecz)は,土壌中の微生物が役立つのではないかと考えた。死体はそうした微生物の繁殖に影響すると思われる。そこでセレジスらはブタの死骸3つを地面に置き,その下の土壌について「有殻アメーバ」の密度を測定した。有殻アメーバは様々な形の殻を持つ多様な単細胞生物だ。

 

 この結果,チームが調べた23種の有殻アメーバは死体を嫌うことがわかった。死骸を置いてから22〜33日後の間,生きている有殻アメーバは1つも見つからなかったのだ。「何か反応があるとは思っていたが,ある時からすべて消えてしまうとは想像もしていなかった」とセレジスはいう。この結果はForensic Science International誌に発表された。

 

 ブタの死骸の下の土壌中でアメーバがようやく回復し始めたのは64日目になってからだ。1年近く後にも,アメーバの数は対照群と比べて完全には回復しなかった。

 

 つまり,これらの微生物の減少と回復から,相当期間屋外に放置された死体の経過時間を推定できる可能性がある。どのくらい長期間まで推定できるかは,今後の研究結果を見ないとわからない。ブタの死骸13体を用いた5年間の研究が進んでいるところだ。■

 

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image:Graphic by Jen Christiansen (SOURCE: “Cansoil testate amoebae be used for estimating the time since death? A field experiment in a deciduous forest,” by IldikÒ Szelecz ET AL.,in Forensic Science International, Vol. 236;March 2014)

 

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