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米国の高校の始業時刻は早すぎ〜日経サイエンス2014年11月号より

遅らせると学業成績が向上
 
 

 米国の高校の始業時刻(午前7時台のところも多い)はあまりに早すぎないか──親と生徒,教師の間でしばしば議論になってきた。論拠となるような事実はこれまで乏しかったのだが,過去3年で科学的な研究結果が蓄積した。それらはすべて同じ結論に達している。始業時刻を遅らせると学習効果が高まる。そして始業時刻は遅いほどよい。

 

概日リズムの移動と学習への影響

 生物学的な研究から,10代を通じて概日リズムが移動していき,しだいに夜遅くまで起きているとともに,朝は遅くまで寝ているようになることが示されている。このシフトは脳内のメラトニン(ホルモンの一種)の変化によって促されるもので,13歳ごろに始まり,15~16歳にかけて強まっていき,17〜19歳でピークに達する。

 

 これは学習に影響するのだろうか? ミネソタ大学応用研究・教育向上センター長のワールストロム(Kyla Wahlstrom)によると,影響する。ワールストロムは2月,ミネソタとコロラド,ワイオミングの3州にある8つの公立高校の9000人を超える生徒を追跡した大規模調査結果を発表した。始業時刻を8時35分以降にして1学期を終えた後には,数学と英語,科学,社会の成績が1/4ステップ,例えばBからB+の途中まで上がった。

 

 ワールストロムが査読した2件の論文(未出版)も同様の結論に至っている。米空軍士官学校が士官候補生を複数のグループに分けて1年次に様々な始業時刻を適用した比較対照実験も同じ結果となった。交通機関の問題のために学区によって異なる始業時刻を採用したノースカロライナ州の事例を調べた2012年の調査では,始業時刻が遅いことと数学および読解の高得点との間に相関関係が認められた。さらに別の研究では,始業時刻を遅らせると出席率が上がり,うつ病の発症率が低下し,自動車事故が減ることが示された。これらはすべて,生徒たちが必要としている睡眠時間が満たされたことによる。(続く)

 

続きは現在発売中の11月号誌面でどうぞ。

 

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