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ドライアイの涙〜日経サイエンス2014年11月号より


画面を見すぎると涙の成分に変化

 

ほとんどの米国人は1日に少なくとも6時間は座った状態でいる。肥満や心臓病などの疾患に結びつく行為だ。パソコン画面を長時間注視すると目に負担がかかる恐れがあることも,多数の研究から示されている。画面を数時間見続けていると瞬きが少なくなりがちで,涙が通常よりも早く蒸発して目が乾き切り,かすみ目や痛みを引き起こす場合がある。治療せずに放置すると,この「ドライアイ」は角膜潰瘍や瘢痕化につながる恐れがある。

 

涙は目のうるおいを保ち,傷の原因となるほこりやごみを洗い流している。ところがドライアイの人の涙には「ムチン5AC」というタンパク質が少ない。涙に粘着性を与え,目の全体に涙を一様に広げるのに寄与しているタンパク質だ。96人の日本人オフィスワーカーを調べた新研究では,画面を8時間以上見つめるとムチンの濃度低下を伴うことがわかった。この結果は6月にJAMA Ophthalmology誌オンライン版に報告。

 

幸い,画面凝視に伴うこのダメージは永久に続くわけではないようだ。ムチンの生成を助ける特定の分子の量は,ドライアイになった被験者もなっていない被験者も,眼精疲労の状況によらず,ほぼ同じだった。より大規模な調査を行う必要はあるものの,これらの研究結果は将来,ムチンに基づくドライアイ診断・治療法を開発できる可能性があることを示している。

 

医師たちはすでに,定期的に画面から目を離して休むよう勧めている。散歩に出よう。でないと泣きをみることになるかもしれない。■

 

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