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ちらりと見えた? 暗黒物質〜日経サイエンス2014年9月号より

銀河中心からの謎のガンマ線は暗黒物質粒子を示す初の信号かもしれない

 

 暗黒物質は宇宙で最もわかりにくく,とらえどころのない構成要素だといえる。全宇宙の質量・エネルギーの約1/4を占めている可能性があるが,実際に見た人はまだいないので,確かなことはわからない。しかし,その暗黒物質がついに姿を見せつつあるのかもしれない。

 

 米航空宇宙局(NASA)のフェルミガンマ線宇宙望遠鏡が,暗黒物質から予測されるのとよく似た高エネルギーガンマ線が天の川銀河の中心から発せられているのを記録した。「これは現時点で最もエキサイティングな信号だと思う」と,パデュー大学の物理学者ラング(Rafael Lang)は4月にジョージア州サバンナで開かれたアメリカ物理学会(APS)の会議で語った(ラング自身はこの研究に関与していない)。このガンマ線が本当に暗黒物質によって引き起こされたものなら,この正体不明の物質を構成する粒子を初めて間接的に検出したことになる。

 

WIMP対消滅で生まれた物質の発光?

 暗黒物質はいわゆるWIMP(ウィンプ:他の物質とほとんど相互作用しない質量の大きな粒子)からできている可能性が高い。WIMPはそれ自体が自分の反粒子だと考えられ,したがって2個が衝突すると互いに壊れてしまう。こうしたWIMP対消滅が起こると通常の物質粒子が生じ,それがガンマ線光子を生み出すと考えられている。暗黒物質は天の川銀河の中心核で最も密度が高いはずなので,この光を探索するなら銀河中心部が最適だ。

 

 フェルミ望遠鏡は銀河中心から予想以上に多くのガンマ線が出ていることを以前からつかんでいた。以前の解析が決め手を欠いていたのに対し,今回は明確な信号が見つかった。過剰なガンマ線光子が天の川銀河の中心から少なくとも5000光年の範囲にまで広がっていたのだ(左の画像)。「暗黒物質が存在したらこう見えるとずっと予想してきたのとぴったり一致する姿だ」と,研究論文の著者でイリノイ州バタビアにある米国立フェルミ加速器研究所のフーパー(Dan Hooper)はいう。

 

 もちろん,特別な主張には特別な証拠が求められる。ほとんどの科学者はこの信号が他の計器や場所で観測されるまで判断を保留している。だが,暗黒物質のとらえにくさ具合は少しばかり緩んできたようだ。■

 

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